研究課題
基盤研究(B)
我々は患者自身の体内で、自らの移植治療のために自家結合組織のみからなる心臓代用弁を形成する D.I.Y 治療技術『生体内組織形成技術』を開発中である。体内に埋入した人工物周囲に、生体防衛機構の働きによって繊維芽細胞とそれが産出するコラーゲン線維によって構成されるカプセル状組織体を心臓代用弁に応用する試みである。組織形成に体外の特殊施設を必要としないため、幅広い施設で応用可能であり、安全性も高いと考えられる。シリコンやポリウレタンからなる鋳型をウサギ・ビーグル犬・山羊などの大動物の皮下に約4 週間留置すると鋳型に沿った組織形成が行われた。鋳型を取り除くことにより心臓弁形状の組織体が得られ、フローサーキットで良好な開閉動作が確認された。形成される弁形状を徐々に改良し、物理特性を向上させる一方で実際の動物移植に備えて、導管に一体化されたもの、Valsalva 洞形態を備える物などを開発した。短期のパイロットスターディーとして、人工心肺下にビーグル犬肺動脈弁位への移植に成功した。移植後の弁機能も良好に保たれていた。更に最近ではステント一体型の血管内治療用のバリエーションの開発を行い、山羊を用いた実験で経カテーテル試験的留置が可能となりつつある。ローコストであり不足しているホモグラフト代用弁に取って代わる可能性のある生体弁として期待される。自家組織のみから構成されるため、個体差にかかわらず安定して形成される技術が開発できれば臨床応用へのハードルは低いと考えられ、これまで人工弁の適応の難しかった小児や感染症患者への応用も可能であると考えられる。
すべて 2013 2012 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (25件)
J Artif Organs
巻: 14(4) ページ: 276-83
J Biomed Mater Res B Appl Biomater
巻: 99(2) ページ: 420-30
巻: 99(1) ページ: 135-41
巻: 13 ページ: 106-112
巻: 13 ページ: 121-125