未曾有の高齢化社会を迎えた我が国ではアルツハイマー病に代表される認知症が増え、幹細胞移植による脳再生療法の開発が急務の課題となっている。骨髄には造血幹細胞と間葉系幹細胞(MSC)の両者が含まれるが、GPR40を微量発現した自家骨髄MSCを分離した上で、in vitroでDHAを用いてGPR40陽性の幼弱神経細胞に分化させる手法が本研究で確立された。この細胞をヒトの脳内に移植すれば、海馬において新生ニューロンに分化し、高次脳機能障害を改善できる可能性がある。同時に、DHAなどの多価不飽和脂肪酸がGPR40との結合によりCREBのリン酸化を介してBDNFを産生し神経回路を再編し得ることを証明した。
|