研究課題/領域番号 |
22390274
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉村 紳一 岐阜大学, 医学系研究科, 准教授 (40240353)
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研究分担者 |
岩間 亨 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (20303498)
矢野 大仁 岐阜大学, 医学系研究科, 准教授 (00332685)
榎本 由貴子 岐阜大学, 医学系研究科, 助教 (20377659)
大江 直行 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (60362159)
副田 明男 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20444276)
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キーワード | 脂肪由来幹細胞 / 脳虚血モデル / ヒト脂肪細胞 / 移植 / 培養 / 培養上清 |
研究概要 |
本研究の目的:脂肪組織から間葉系幹細胞が得られることが報告され注目されている。この脂肪由来幹細胞(adipose tissue derived stem cells : ADSCs)は骨髄からの採取に比べ、低侵襲かつ大量に採取可能であり、しかも培養が簡便で増殖速度も早いという利点を有する。我々は2006年にマウスADSCsの培養に成功し、最近ではマウス脳虚血モデルに対する静注投与においてADSCsの優れた脳保護効果を確認した。本研究ではヒトへの臨床応用を目指し、ヒト脂肪細胞からのADSCs培養方法をまず確立することを目的としている。 研究の成果とその意義:ADSCs採取の際の侵襲をより軽減すべく、ごく少量の脂肪組織よりADSCsを分離することを試み、安定して分離可能となった。また、マウスにおいては、ADSCsが同じ間葉系幹細胞である骨髄組織由来幹細胞と比較し培養効率および脳虚血に対する神経保護効果の両面で優位であることを確認し、報告した(Cytotherapy誌,2011)。また、ヒトADSCs培養上清に各種神経栄養因子が検出されることが明らかとなりつつあり、平成23年度には、ADSCs培養上清がマウス脳虚血モデルに対し保護効果を示すことを確認し結果を報告した(Brain Research誌in press)。更に、培養上清中に高濃度で含まれる因子が神経保護作用を有することを新たに見出し、検討を続けている。また、ヒトADSCs培養法については、当初の予定通りヒト血漿による培養、無血清培地での培養法を試みる予定である。次年度は、ヒトADSCsの至適移植法、および至適投与時期についての実験に取り組んでいく予定である。本実験は特に実際の臨床応用を見据えて計画中であり、具体的には、患者本人からのADSCs培養と移植にかかる時間を想定し、脳梗塞形成後、2-4週間後の亜急性期に移植を行い、その脳保護効果、再生に対する効果を確認して行く予定である。 本研究の重要性:本研究はヒトADSCsを自身の血漿等を用いて培養し、さらに自身への移植法確立を目指しているため、科学的・社会的に極めて実現性の高い、重要な研究であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADSCsの持つ神経保護作用については現在までにほぼ確認されたといえる。今後、臨床応用に向けての培養法、投与経路やADSCsの分泌する神経保護因子の同定に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
幹細胞を用いた治療の大きな目的は傷害された組織の再生である。課題は、幹細胞が傷害された組織で生着し、機能的に有効な組織をどの程度再生可能かという点である。傷害の程度や移植経路、至適時期についてのin vivoでの検討を進める。
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