研究課題/領域番号 |
22390276
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 倫保 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80196873)
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研究分担者 |
大和田 祐二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20292211)
野村 貞宏 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20343296)
藤井 正美 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90181320)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | epilepsy / brain cooling / device / glutamate / cerebral blood flow / metabolism |
研究概要 |
ペニシリンGによってラットに痙攣発作が誘発され、これは20-10℃の局所脳冷却で抑制された。抑制効果は温度が低いほど高かった。21ポイント神経スケールで神経機能を測定したところ、非冷却時に15.6ポイントであったスコアが20℃では18.33に、15℃では19.5に改善した。ところが10℃に冷却したときは15.93にとどまり、有意な改善はなかった。非けいれんラットを用いた冷却の影響を同じスコアで見ると、15℃冷却までは機能が保持され、10℃で有意に低下した。foot-fault testでの運動機能は15℃から悪化が見られ、10℃では大きく悪化した。RF size測定での感覚機能は15℃から低下し、10℃で大きく低下した。以上より、痙攣発作をほぼ停止させるのに有効な局所脳冷却温度は15℃であり、それによる神経機能の低下はわずかである、と判明した。 てんかん症例の術中に頻回のスパイクが検出された。これは15℃に冷却することで有意に抑制され、冷却終了後には再度増加した。冷却によって脳血流は低下し、冷却終了後再度増加した。冷却前の細胞外グルタミン酸濃度は高く、冷却中は低下し、冷却後もこの低下は維持された。乳酸濃度は冷却前には高く、冷却中に有意に低下し、冷却後も低下のまま維持された。てんかん焦点では神経細胞の興奮が持続的に起こっており、この結果グルタミン酸が放出され、高いグルタミン酸が発作の原因にもなっていると推測された。持続的神経興奮は局所のエネルギー不足を招き、嫌気性代謝に依存した状態であった。15℃の局所脳冷却はグルタミン酸を低下させ、嫌気性代謝も低下させた。脳血流の低下はエネルギー需要の低下のためであり、虚血病態ではない。以上より、15℃の局所脳冷却は発作を抑制するだけでなく、脳組織保護性を持つ治療であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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