研究課題
神経線維腫症1型(NF1)は、多発性神経線維腫を始め多彩な病態を示す遺伝性疾患である。NF1原因遺伝子産物の欠損による細胞内シグナル異常は、神経系細胞の増殖と分化異常を誘発し、NF1の病態に関わると考えられる。NF1蛋白の神経系細胞内機能とその欠損による細胞異常の機構を明らかにするため、RNA干渉(siRNA)法を用いたNF1発現抑制によって、神経系細胞PC12に及ぼすNGFによる分化誘導への影響を解析し、生じた表現形の細胞内責任シグナル分子群を、iPEACH(データ統合マニング法)を用いた融合プロテオミクスによって詳細に検討した。siRNAによりNF1発現を抑制したPC12は、神経突起伸長が経時的に阻害され、細胞骨格系の制御異常、運動能の亢進が観察された。NF1発現抑制細胞およびコントロール細胞より蛋白質およびmRNAを抽出し、iTRAQ、DNA array、2D-DIGEを組み合わせた融合プロテオミクスにより3198分子群を定量的に同定し、NF1発現抑制細胞で有意に発現上昇した分子ネットワークを解析した結果、Dynein IC2、GR、COX-1の一連の特異的活性化シグナルネットワークが検出された。このシグナル経路に関わる各分子群のsiRNAや阻害剤処理による検証実験の結果、NF1発現抑制細胞では、Dynein IC2-BからIC2-Cへのスプライシングとリン酸化の亢進によってGRの核輸送が誘導され、その結果COX-1の発現を亢進させてNF1の病態と関わっていることが判明した。NF1欠損PC12細胞のCOX-1の発現抑制は、神経突起伸長阻害を回復し、NF1病態の治療標的となることが示唆された。神経線維腫症I型で生じる神経系分化異常を始めとした多彩な症状の発症は、これらのシグナルの制御異常に関与している可能性から、治療標的としての更なる詳細な機能解析が期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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