研究課題
基盤研究(B)
神経線維腫症1型(NF1)は、多発性神経線維腫を始め多彩な病態を示す遺伝性疾患である。NF1 の原因遺伝子産物 Neurofibromin は Ras-GAP 相同領域を有し、その機能の欠損によるRas を介した細胞内シグナル伝達異常は、 神経系細胞の増殖と分化異常を誘発し、 NF1 の病態に関わるとされる。Neurofibromin の神経系細胞内機能とその欠損による細胞増殖分化異常の機構を明らかにするため、RNA 干渉(siRNA)法を用いた NF1 発現抑制によって、神経系細胞内にて生じた表現形の細胞内責任シグナル分子群を、融合プロテオミクス法を用いて詳細に検討した。 siRNA により NF1 発現を抑制した PC12 細胞は、 神経突起伸長が経時的に阻害され、細胞骨格系の制御異常、運動能の亢進が観察された。約 4000 種の PC12 細胞内発現蛋白質を同定し、NF1 発現抑制により特異的に発現が変動する 38 種の活性化シグナル分子群を同定した。これらには Rho、Rac、Cdc42、Rab、ERK、P AK、PI3K に加えて、新規の腫瘍関連ネットワークである TCTP(Translationally Controlled Tumor Protein)-mTOR 活性化ループ、及び Dynein-GR-COX1 シグナルが含まれており、 これらが総合的に NF1 病態に関わる細胞増殖分化異常に関連すると考えられた。特に、NF1 患者由来悪性腫瘍細胞において、これらのシグナルの活性化が顕著であり、その阻害が細胞の病態改善を誘導したことから、これらを中心とする活性化シグナル分子群が病態マーカー/治療ターゲットと成り得る可能性を提唱した。
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