研究課題/領域番号 |
22390284
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
岡田 尚巳 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00326828)
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研究分担者 |
喜納 裕美 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (60532728)
岡田 浩典 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (80416271)
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キーワード | 脳神経疾患 / ウイルス / 遺伝子 |
研究概要 |
悪性神経膠腫、難治性てんかん、および脳血管障害に対する細胞遺伝子治療の臨床的効果を高めるため、病巣において持続的に治療蛋白質を作用させることが可能な新規蛋白質補充システムの開発が急務である。この取り組みの一つとして、アデノ随伴ウイルス(AAV)やその産生細胞を用いた、安全で持続的な蛋白質補充療法の有効性が期待されている。その基盤技術として、高純度ベクター作製システムおよび発現増強法の開発を前年度に引き続き推進した。 (1)高純度AAVベクター作製システムの開発と蛋白質補充療法 独自の基盤技術をさらに改良し、安全性の高いベクター調製系の開発を推進した。アデノウイルスE1およびBcl-xLを導入した293細胞にベクタープラスミドおよびヘルパープラスミドを導入すると、ウイルス粒子は培養上清中にexosomeとして放出されることを電顕にて確認し、これをサンプルとしてベクター調製が可能なことを証明した。また、GAD発現AAVベクターを作製し、側頭葉てんかんのモデルであるELマウスの両側海馬に定位脳的に注入した。治療群では、角加速度刺激で誘発される痙攣発作の減弱がみられ、組織標本の解析によって治療遺伝子の効果的な発現も確認された。 (2)AAVベクターに搭載した導入遺伝子の発現増強 従来、HDAC阻害剤による遺伝子発現増強効果を証明しその作用機構の解析を推進してきたが、今回、新たに生薬処方によるウイルス粒子取り込み増強効果を見いだした。神経上皮由来細胞株U251MGにTJ-68をあらかじめ短時間作用させると、その後培地中に添加したrAAV8の導入効率がTJ-68濃度依存性に亢進した。この際、Q-PCRにてウイルス粒子の取り込み亢進を確認したが、HDAC活性への影響は認められず、細胞分化に影響しない発現増強剤として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
従来不明であった培養上清中へのベクター粒子放出機構が確認された。また、研究の過程で、細胞分化に影響しない発現増強剤を偶然見いだした(特許出願)。てんかんマウスの治療実験では低用量のベクターにて高い治療効果が確認され、副反応等もみられなかった。
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今後の研究の推進方策 |
培地中へのexosome放出を促す条件を検討し、さらにベクター産生効率を高める。また、糖鎖チップを利用した受容体の検索と吸着担体開発を行い、臨床用ベクター製造に向けたGMP準拠作製システムの開発を推進する。前臨床的治療研究においては、病理学的解析をすすめ、遺伝子導入様式や脳スライス標本を用いたカルシウム動態の解析を行う。
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