研究課題/領域番号 |
22390284
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
岡田 尚巳 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00326828)
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研究分担者 |
喜納 裕美(早下裕美) 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (60532728)
岡田 浩典 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (80416271)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / 遺伝子治療 / ウイルス |
研究概要 |
難治性脳神経疾患に対する細胞遺伝子治療の臨床的効果を高めるため、病巣において持続的に治療蛋白質を作用させる実用的な蛋白質補充システムの開発が急務である。独自の技術や知財を応用し、アデノ随伴ウイルス(AAV)やその産生細胞を用いた、安全で持続的な蛋白質補充療法の有効性を証明した。さらなる改良と本格的実用化に向けた基盤技術として、高純度ベクター作製システムおよび発現増強法の開発を前年度に引き続き推進した。 (1)高純度AAVベクター作製システムの開発と蛋白質補充療法:ベクター作製系の技術基盤をさらに改良し、より効率の高いベクター調製系の開発を推進した。ベクターの産生効率を高めるための培地の組成を検討し、高産生培地の開発に着手した。また、精製担体の開発に向け、糖鎖チップを用いて、AAVに親和性の高い構造をスクリーニングした。さらに、側頭葉てんかんのモデル動物であるELマウスを使用し、発作焦点内Glutamate decarboxylase(GAD)発現療法の有効性と安全性を引き続き検証した。ELマウスの両側海馬にGAD発現8型AAVベクターを注入し、遺伝子発現、てんかん発作のスコア、海馬スライス培養におけるカルシウム流入様式などを評価し、治療効果を確認した。 (2)ベクター搭載遺伝子の発現増強システム:従来、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による遺伝子発現増強効果や作用機構を解析してきたが、新たに生薬処方によるAAV粒子取り込み増強効果を確認し、前年度に引き続き作用条件を解析した。神経上皮由来細胞株U251MGの他、線維芽細胞、肝細胞や筋細胞においても発現増強作用が確認された。またウイルスの血清型についても検証を行い、2型AAVおよび9型AAVにおける効果が確認できた。さらに、アデノウイルスベクターの場合にも発現増強作用が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
培養上清中へのベクター粒子放出機構を解析する過程でベクター放出効率を高める条件を見出だし、高産生培地の開発に繋がった(出願準備中)。また、研究の過程で、細胞分化に影響しない発現増強剤の多彩な作用を偶然見いだした(PCT出願)。てんかんマウスの治療実験では低用量のベクターにて高い治療効果が確認され、副反応等もみられなかったため、安全で長期間の効果が期待できる治療法として実用化が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
培地中にベクター含有exosome放出を促す条件を至適化し、ベクター高産生培地の実用化を行う。既に民間企業と商品化に向けた協議を開始しており、研究用ベクター産生キットと併せ、AAVベクターの本格的な普及に努める。また、糖鎖チップを利用した受容体の検索と吸着担体開発を行い、臨床用ベクター製造に向けたGMP準拠製造システムの開発を推進する。前臨床的治療研究への応用として、てんかん治療モデルの病理学的解析をすすめ、遺伝子導入様式や脳スライス標本を用いたカルシウム動態の解析を行う。
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