研究概要 |
マイクロアレイ法による胎仔ラット、成ラット脊髄切断モデル、および成ラット完全損傷不全損傷モデルにおける脊髄内全遺伝子発現に対するクラスター解析、Gene ontology頻度解析、Pathway頻度解析を行い、差異がみられた遺伝子に対するRT-PCRによる半定量解析と組織学的局在を調べた。クラスタリング解析では遺伝子発現パターンにより6つのグループに分割された。GO解析では、“apoptosis”に属する44遺伝子が、“response to stimulus”に属する17遺伝子が抽出された。Pathway解析ではMAPK signalingの有意な変動が確認された。 慢性脊髄圧迫モデル(twy/twy)についても同様のmicroarrayによる遺伝子網羅的解析および脊髄後角での免疫組織化学的評価を行った。twy/twyマウス(12, 18, 24週齢)を用いた。GO解析では12週と24週の比較で、“response to stimulus”に属する35遺伝子、“defense response”に属する15遺伝子が抽出された。Pathway解析ではMAPK signalingの有意な変動が確認された。組織学的検討では、p38, JNK, ERK1/2の発現は圧迫が高度になるに従い増加した。発現のsourceとしては、p38はmicroglia、JNKはastrocyteが主であったが、ERK1/2は18週ではneuron, microglia, astrocyteのいずれでも発現がみられたが、24週ではastrocyteが優位であった。圧迫性脊髄症における慢性疼痛の機序として、astrocyte-MAPK活性が関与している可能性が示唆された。
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