研究課題/領域番号 |
22390289
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宿南 知佐 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (60303905)
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キーワード | Tenomodulin / 腱 / 靭帯 / 転写因子 / 運動器 |
研究概要 |
Tenomodulin (Tnmd) promoter近傍の腱・靭帯特異的enhancer領域(UTLE)に結合する転写因子の検索・解析を行った。酵母One-hybrid法によって同定された因子には多数の偽陽性が含まれていたので、HEK293T細胞にreporter plasmidと発現ベクターを共発現させて結合する転写因子の検索を行った。また、UTLE近傍にもenhancer活性を持つ配列が存在していたので、転写開始点の上流約1kbを10の断片に分割した領域の4回繰り返し配列をpGL4.23[luc2/minP]に挿入し、腱細胞においてenhancer活性の検出される領域を検索した。その結果、UTLEを含む158 bpからなるLUTLE2に強いenhancer活性が認められたので、このreporter plasmidと約6,000遺伝子の発現ベクターをHEK293T細胞に共発現させて、Ets familyを含む複数の転写因子を同定した。スクリーニングに用いた発現ベクターには含まれていないEts familyの因子についても、腱細胞での発現をRT-PCRによって解析した。Gel shift assayによってETV4とETV5のUTLEへの結合を確認している。更に、腱細胞を用いて、ScleraxisだけでなくTwist、ParaxisによってTnmdのmRNAの発現レベルが上昇しSox9やId3によって下がることを論文として公表した。一方、zebrafish胚では、マウスTnmdの組織特異的なenhancer活性を検出出来なかった。zebrafishでは、Tnmdは鰭の付け根や筋間中隔など限られた領域に発現しているので,founderでのenhancer活性の解析が難しいと判断し、Transgenic miceを用いてイントロン内のenhancer領域の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
enhancer領域に結合する転写因子のスクリーニング方法を変更したので、当初よりも同定に時間がかかった。しかしながら、変更後のスクリーニングでは、reporter plasmidと発現ベクターを共発現させる方法を用いているので、偽陽性のクローンがほとんどなく、転写因子を同定してから後は順調に実験を進めることが出来た。zebrafish胚に関しては、異なるspeciesのenhancer解析が難しいことを当初から想定していた。zebrafish胚よりは時間がかかるが、Transgenic mice胚を用いて成果を得つつある。また、腱細胞を用いて、TnmdのmRNA levelに影響を与えるScleraxis以外の転写因子について解析した結果を報告した論文が受理されており、全体的にはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
イントロン内に存在するエンハンサーに関しても、酵母One-hybridではなくreporter plasmidと発現ベクターを共発現させる方法を用いて、結合する転写因子の同定を行う予定である。promoter近傍に存在するenhancer領域に結合する転写因子に関しては、結合特性や発現パターンの解析を進める。
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