研究課題/領域番号 |
22390292
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡田 誠司 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30448435)
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研究分担者 |
大川 恭行 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80448430)
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キーワード | 脊髄損傷 / バイオマーカー / 予後予測 |
研究概要 |
C57B6マウス脊髄損傷モデルを用いてIH impactorを用いた定量的な圧挫損傷(30-90kdyn)を作成後、経時的に尾静脈から採血し、予後予測バイオマーカーとなりうるタンパク質の同定を目指し研究を行なっている。血清グロブリンとアルブミン除去カラムを用いて脊髄損傷マウス血清中の網羅的タンパク質発現解析を行なったが、主としてケラチン混入による測定誤差が大きく、微量である目的タンパク質の同定にはいたらなかった。特に、blue sepharoseを用いたアルブミン除去では完全にアルブミンが除去されず、正確な測定が不可能であった。そこで、サンプル採取条件を厳密にし、アルブミン、IgG、フィブリノーゲン、トランスフェリン、α1アンチトリプシン、ハプトグロビン、IgMの7種類を除去するプロテオミクス解析に特化したアフィニティカラムを用いている。まずは定量的でなく、定性的なタンパク質発現の網羅的解析を行なう段階である。一方で、近年注目され始めた既存の予後予測マーカーであるpNF-Hがどの程度マウス脊髄損傷モデルに於いて有用であるかを検討した。非損傷時に比して確かにpNF-Hの上昇は認められたが、発現値の推移は一定でなく、損傷の程度に比例して発現値のピークを示す時間にも相関は認められなかった。引き続きプロテオミクスによる精度の高いバイオマーカー検索を行なっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脊髄損傷患者でのデータベース構築は順調に進んでいるものの、採取検体数が少なく、また動物実験に於けるMudPIT解析においても臨床ベースで応用可能なバイオマーカーの同定には至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄損傷の予後予測にば、バイオマーカー探索と同時に画像的な非侵襲的定量法を試みている。これは、炎症細胞が持つ自家発光をルミノール試薬にて増強させ、その発光強度と損傷程度が相関している点を応用するものである。バイオイメージングの原理にて損傷部の自家発光を定量化し、予後予測に繋げる試みであるが、PudPIT解析と平行して実験を行なっていく予定である。
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