研究課題/領域番号 |
22390293
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
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研究分担者 |
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (00308280)
宗宮 仁美 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (20548713)
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
飯沼 宗和 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (70082998)
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キーワード | 脊髄損傷 / 軸索再生 / 運動機能回復 / デセン酸誘導体 / 神経栄養因子 / シグナル伝達 / 培養神経細胞 |
研究概要 |
1.新規デセン酸誘導体のin vitro活性評価:2-デセン酸誘導体(DA)を多数合成し培養大脳皮質ニューロンのErk1/2リン酸化の増強効果に基づく構造活性相関により、3種類のDAを選んだ(知財保護によりA、B、Cと呼称)。以下の治療成績を含め特許出願(国際出願番号:PCT/JP2011/75228)。 2.経口投与による運動機能回復:脊髄(T10)の左半分切断ラットにA、B又はCを1日1回、30日間経口投与するとAは500μg/kgで、Bは500、2,500μg/kgで、Cは2,500μg/kgで運動機能の上昇が認められた。 次に脊髄を全切断した後、1日1回、6週間にわたり化合物Cを腹腔内投与すると、投与10日あたりから運動機能改善が認められ、28日以降は、後肢で体重を支えて歩くまでに回復した,,化合物AとBについて経口投与で運動機能回復効果を検討中である。 3.DAの細胞内作用機構の解析;DAは培養ニューロンに作用してErk1/2のリン酸化を増強する。この活性はチロシンキナーゼ型受容体をもつ神経栄養因子の作用と類似すると同時に脊髄損傷治療の要因であると考えられる。そこで分子メカニズムについて検討し、DAが細胞内で特定タンパク質(Xとする)と結合しXを活性化することによって特定の受容体型チロシンキナーゼファミリーをリン酸化することが明らかになった。この結果は、DAが、神経栄養因子と同等の活性を示すことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、1)経口投与で脊髄損傷を治療できるデセン酸化合物の創製である。さらにその、2)細胞内作用機構の解明、3)軸索再生の実証を行うことにある。これまでに、1)は当初の目的をほぼ達成し、安定性、薬効ともに高い候補化合物を見出した。2)細胞内作用機構は、Erk1/2のリン酸化までについては、ほぼ解明することができた。3)免疫組織化学、軸索トレーサー実験はまだ行っていないが次年度に計画している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に行う事柄は以下の通りである。 1)軸索をトレーサーで染色することにより、真に軸索再生に基づく運動機能の回復かどうかを組織学的に検証する、2)脊髄の全切断モデル動物に対して経口投与したデセン酸化合物A、Bの運動機能の回復効果を確認する、3)運動機能の回復した動物について、損傷部位を中心に免疫組織化学的に解析する。
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