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2010 年度 実績報告書

慢性疼痛発現におけるエピジェネティクス制御機構の網羅的解析

研究課題

研究課題/領域番号 22390300
研究機関星薬科大学

研究代表者

成田 年  星薬科大学, 薬学部, 教授 (40318613)

キーワードエピジェネティクス / 慢性疼痛 / 脳 / 脊髄 / イメージング
研究概要

神経障害性疼痛の発現機序には、脊髄における増殖因子やサイトカイン、ケモカイン等が重要な役割を果たしていることが広く知られている。これまでの本研究の成果より、C-Cケモカインの一つであるmonocyte chemoattractant protein-3(MCP-3)の脊髄内ミクログリアにおいての発現が、神経障害性疼痛下において上昇することが明らかとなった。また、神経障害性疼痛下の脊髄におけるMCP・3の過剰発現は、IL-6欠損マウスではほとんど認められなかったことから、脊髄内ミクログリアにおけるMCP-3の発現は1L-6依存的に調節されていることを明らかにした。さらに、MCP3はケモカインレセプターであるCCR2に作用することから、神経障害性疼痛下におけるCCR2の発現変化についても詳細に検討を行ったところ、有意な増加が認められた。しかしながら、神経障害性疼痛下において脊髄内IL-6シグナルがどのようにMCP3の発現を制御しているかについては未だ不明な点が多く残されている。近年、様々な難治性疾患の発現メカニズムとしてゲノムに書かれた遺伝情報が変更されることなく、DNAメチル化やヒストン修飾により後生的に遺伝子発現が制御される、いわゆる「エピジェネティクス」現象が注目されるようになってきている。そこで本研究では、神経障害性疼痛下における脊髄内でのMCP-3過剰発現がDNAエピジェネティクス修飾によって制御されているか否かを検討した。その結果、神経障害性疼痛下ではMCP-3のプロモーター領域において、転写活性を抑制的に制御するH3K27トリメチル化の抑制、つまり転写活性の増強が引き起こされていることが明らかとなった。さらに、この変化はIL-6欠損マウスにおいて認められなかったことから、神経障害性疾痛下において認められるMCP-3 プロモーター領域におけるエピジェネティクス変化はIL-6依存的に引き起こされていることが示唆された.

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Direct evidence for the ongoing brain activation by enhanced dynorphinergic system in the spinal cord under inflammatory noxious stimuli.2010

    • 著者名/発表者名
      Taketa Y
    • 雑誌名

      Anesthesiology

      巻: 112 ページ: 418-431

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hippocampal epigenetic modification at the doublecortin gene is involved in the impairment of neurogenesis with aging.2010

    • 著者名/発表者名
      Kuzumaki N.
    • 雑誌名

      Synapse

      巻: 64 ページ: 611-616

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epigenetic modulation at the CCR2 gene correlates with the maintenance of behavioral sensitization to methamphetamine2010

    • 著者名/発表者名
      Ikegami D
    • 雑誌名

      Addiction Biology

      巻: 15 ページ: 358-361

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hippocampal epigenetic modification at the brain-derived neurotrophic factor gene is involved in enriched environment-induced neurogenesis.2010

    • 著者名/発表者名
      Kuzumaki N
    • 雑誌名

      Hippocampus

      巻: 21 ページ: 127-132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sleep disturbances in a neuropathic pain-like condition in the mouse are associated with altered GABAergic transmission in the cingulate cortex.2010

    • 著者名/発表者名
      Narita M
    • 雑誌名

      Pain

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Possible involvement of prolonging spinal μ-opioid receptor desensitization in the development of anti-hyperalgesic tolerance to μ-opioids under a neuropathic pain-like state.2010

    • 著者名/発表者名
      Narita M
    • 雑誌名

      Addiction Biology

    • 査読あり
  • [学会発表] 疼痛制御の統合的分子理解:除痛による抗がん効果2010

    • 著者名/発表者名
      成田年
    • 学会等名
      第4回 日本緩和医療薬学会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20100925-20100926
  • [学会発表] エピジェネティック修飾を伴った遺伝子発現網羅的解析に基づく慢性疼痛の包括的理解2010

    • 著者名/発表者名
      今井哲司
    • 学会等名
      第4回 日本緩和医療薬学会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20100925-20100926
  • [学会発表] 疼痛制御機構に関する研究(第120報):神経障害性疼痛下におけるマウス脊髄内のエピジェネティクス修飾を伴った遺伝子発現変化の網羅的解析2010

    • 著者名/発表者名
      成田年
    • 学会等名
      第33回 日本神経科学大会、第53回 日本神経化学大会、第20回 日本神経回路学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20100902-20100904
  • [学会発表] エピジェネティック修飾を伴った脊髄ケモカインシグナリングによる神経障害性疼痛の発現機構に関する検討2010

    • 著者名/発表者名
      成田年
    • 学会等名
      第83回 日本薬理学会年会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20100316-20100318
  • [学会発表] 慢性疼痛による後生的遺伝子修飾(エピジェネティクス)の網羅的解析:早期除痛の意義2010

    • 著者名/発表者名
      成田年
    • 学会等名
      第32回 日本疼痛学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2010-07-03
  • [学会発表] 慢性疼痛発現におけるエピジェネティック制御機構2010

    • 著者名/発表者名
      成田年
    • 学会等名
      日本エピジェネティクス研究会 第4回年会
    • 発表場所
      米子
    • 年月日
      2010-05-28
  • [学会発表] 疼痛症状の慢性化に至る分岐点を科学的根拠をもとに議論する2010

    • 著者名/発表者名
      成田年
    • 学会等名
      日本ペインクリニック学会中国・四国合同地方会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2010-05-15

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公開日: 2012-07-19  

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