研究分担者 |
神村 典孝 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00281931)
羽渕 友則 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293861)
坪井 滋 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20526727)
盛 和行 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40266903)
古家 琢也 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60321965)
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研究概要 |
①前立腺癌特異的PSA糖鎖構造変異を検出する至適プローブの同定 糖鎖構造の変異は、ある特定の糖鎖構造を特異的に認識するレクチンおよびモノクローナル抗体を用いて検出することができる。当該年度は種々の天然レクチンをスクリーニング、リコンビナントレクチンおよび糖鎖に対するモノクローナルをスクリーニングした。非癌前立腺由来PSA(TURP切片圧出PSA)及び前立腺癌培養細胞株LNCaP由来PSAに関し、レクチンカラムクロマトグラフィーを行い、両者の吸着率の差が最も大きいレクチンを同定する。具体的にはCon A, LCA, SNA, MAA, AAL,PHA-Eレクチンの検討を行った。Con A, LCA, SNA, MAA, AAL, PHA-Eレクチンカラムを通す前後のPSA値を測定し、前立腺肥大症及び前立腺癌症例の血清PSA結合率の最も大きいレクチンを同定した。その結果MAAレクチンが最適なレクチンであった。 ②標的糖鎖を認識するモノクローナル抗体の樹立 前立腺癌由来のPSAと非癌由来PSAの糖鎖構造の違いは、後者はハイブリットタイプのN-glycanが主体であるのに対して、前者は2-4本に分岐したN-glycanを有し、しかも末端の糖鎖構造はシアル酸がガラクトースにα2-3結合しているSia-alpha2,3Galであることが判明している。そこで、Sia-alpha2,3Gal構造を特異的に認識するモノクローナル抗体の検索を行い、HYB4が該当することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標は、前立腺特異抗原の癌性変異を認識する最適なプローブを選定することであった。天然レクチンのスクリーニングを行った結果、MAAレクチンが前立腺癌に伴う糖鎖変異を認識する最適レクチンであることが判明した。(Sia-alpha2,3Galを認識) しかし、天然レクチンはロット差が大きく、大量生産に困難を伴うため、Sia-alpha2,3Galを特異的に認識するモノクローナル抗体の樹立に取り掛かった。その結果、HYB4がSia-alpha2,3Galを特異的に認識するモノクローナル抗体であることが判明した。 以上より、今後の検討は抗free PSAモノクローナル抗体とHYB4を用いて行うことが確定した。したがって、当該年度までの目標はほぼ達成されたと判断した。
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