研究分担者 |
羽渕 友則 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293861)
坪井 滋 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20526727)
盛 和行 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40266903)
古家 琢也 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60321965)
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研究実績の概要 |
前立腺特異抗原(PSA)検査による前立腺癌の診断は特異度が低く、それに伴う過剰診断と過剰治療が問題となる。我々は、前立腺癌患者血清に糖鎖末端がシアル酸α(2, 3)ガラクトースへと変異した癌関連フリーPSA(S2,3PSA)が増えることに着目した。本研究では、シアル酸α(2, 3)ガラクトースを特異的に認識するモノクローナル抗体(HYB4)とfree-PSAを用いた新規アッセイ法を開発し、従来のPSA検査よりも感度、特異度ともに優れたアッセイ系であることを確認した。 Total PSA値10ng/mL以下のBPH患者血清176例およびcT1-T2のPCa患者血清138例の計314例を検体とした。血清20μLを抗fPSA抗体固定化磁性ビーズと混合し、血清中のfPSAをキャプチャー後、シアル酸α2,3ガラクトースを認識するHYB4抗体でサンドウィッチし、がん関連free PSA (S2,3PSA)量をルミネックスシステムにより測定した。 まず、pilot studyによってMFI cut-off value を決定した。その結果、PCaの診断においてMFI: 1130がspecificity 72.0% 、sensitivity 95%であり、同値を以下のvalidation studyにおけるMFI cut-off valueとした 。314例の血清中のS2,3fPSAを測定したvalidation studyの結果、PCa群のMFIは、BPH群のMFIよりも有意に高く、PCa患者において血清中のS2,3PSA量が有意に増加した。PCaの診断効率に関するROC曲線からS2,3PSAのAUCは0.84であり従来のPSA法(AUC=0.57)よりも検査効率が良好であることを確認した。
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