研究課題/領域番号 |
22390302
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
羽渕 友則 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00293861)
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研究分担者 |
大山 力 弘前大学, 医学系研究科, 教授 (80282135)
土谷 順彦 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70282176)
湯浅 健 財団法人癌研究会, 付属病院・化学療法科, 医長 (00314162)
南條 博 秋田大学, 医学部, 講師 (70250892)
堀川 洋平 秋田大学, 医学部, 講師 (40361232)
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キーワード | 前立腺癌 / 腎細胞癌 / 高脂肪食 / 肥満 / 高カロリー食 / IGF-1 / 分子生物学 / 腫瘍微小環境 |
研究概要 |
近年の泌尿器癌(特に前立腺癌や腎細胞癌)の増加は著しい。原因として食生活の変化、特に高カロリー・脂肪食の影響が示唆されている。本研究では、実験動物、細胞生物学、分子疫学、臨床検体を用いた多方面からのアプローチにより、高カロリー・高脂肪食による泌尿器癌進展の分子機構を腫瘍微小環境にも注目しながら解明、標的分子を同定し、治療や予防への可能性を検討するものである。具体的には; 1)高脂肪・高カロリー食による泌尿器癌進展の腫瘍細胞や腫瘍微小環境の標的分子の同定と生物学的意義の解析:高脂肪vs低脂肪、高カロリーvs低カロリー下での xenograft での遺伝子発現プロフィールを比較し、標的分子となりえる候補遺伝子を探索し、検証する。また高脂肪か高インスリン・IGF-1状態のいずれが腫瘍進展に重要であるかを解明する。さらに脂肪成分のいずれが腫瘍進展に重要かも同定し、細胞内シグナルへの脂肪分画(成分)の関与とメカニズムを解明する。 2)標的分子の臨床検体や分子疫学的解析による実地検証:候補遺伝子の遺伝子多型を前立腺癌、腎癌、膀胱癌の患者群、正常群で比較検討。またBMI、食生活、耐糖能異常、などメタボリックな背景、病勢、予後との関連も検証する。 3)標的分子の抑制または亢進化による治療や予防の可能性を動物モデルで検証:候補遺伝子については、成長速度、浸潤、遊走、転移能、抗アポトーシス能などを検討。さらにin vitro、in vivo でsiRNAやvectorによる強制発現による癌細胞の挙動を検証する。標的分子の発現抑制や強制発現による前立腺癌や腎癌のにin vitro、in vivoでの制御を試みる。 上記の解析により、高脂肪・高カロリー食による泌尿器癌の進展の分子機構の解明、分子マーカーの同定と、治療標的分子を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
●高脂肪食下の前立腺癌進展に関わる下流分子としてFn14を同定し、Fn14/TWEAKシグナルが前立腺癌進展・浸潤に関与していることを示した(Carcinogenesis 2011)。 ●高脂肪食が高カロリー食より前立腺癌進展に重要であることをしめし、その重要なシグナルとしてMCP-1/CCR2が重要であることを示した(Prostate 2012 in press)。
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今後の研究の推進方策 |
●さらに高脂肪食下、高カロリー摂取下での腫瘍進展メカニズムと標的分子を前立腺癌や腎癌で探索する。 ●脂肪成分のどの脂肪酸(例:パルミチン酸、オレイン酸、等)が腫瘍進展に関与しているかを解析、細胞内シグナルへの関与と標的シグナルや分子を同定する。 ●細胞内の脂肪分画を解析できるMASSシステムが本大学に導入された為、高脂肪食や高カロリー摂取下での癌細胞内の脂肪酸合成や脂肪分画成分を解析予定である。
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