研究課題/領域番号 |
22390303
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡本 圭生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50303780)
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研究分担者 |
茶野 徳宏 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40346028)
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キーワード | 精巣腫瘍 / 腫瘍マーカー / 胎児性癌 / DNMT3L / メチレーション / SOX2 |
研究概要 |
今年度は転移性精巣腫瘍の新たな治療モダリティを模索するためにおこなった研究により以下の実績が得られた。 転移性精巣腫瘍の多くは化学療法と手術療法による集学的治療によって治癒可能であるが、20%に難治症例が存在する。こういったケースでは化学療法にも放射線療法にも抵抗性となり最終的に死に至るケースがいまだに 少数例ではあるが存在する。胎児性癌はこういった難治症例の起点となる多分化能をもった癌細胞であり、適切に胎児性癌をいかにコントロールできるかどうかは難治性精巣腫瘍を治癒に持っていけるかどうかの分岐点になりうるクリティカルな問題である。われわれは胎児性癌に発現している幹細胞遺伝子であるSOX2に着目し胎児性癌細胞でSOX2をノックダウンすることによる抗腫瘍効果の検討をIn vitro, In vivoの両面から検討した。その結果、SOX2をノックダウンすることにより胎児性癌細胞にアポトーシスを誘導できることがわかった (J Urol 2012)。さらに精巣腫瘍においてセミノーマと非セミノーマの間に存在するメチル化の差異が、その多くはレトロトランスポゾンを中心としたLINE1やAlu遺伝子とよばれるジャンク遺伝子のメチル化プロフィールによって規定されていることを報告した (Mol Carcinogenesis 2012)。またこれら精巣腫瘍のエピジェネティックスに関して国際誌に総説を記し、ここでは精巣腫瘍の化学療法感受性や多分化能といった興味深い生物学的特性を始原生殖細胞や胚性幹細胞にみられる弛緩したクロマチンという観点からの解明も試みた (Int J Urol 2012) 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
少ない人数での研究環境ではあるが、着実に国際雑誌に質の高い報告ができておりおおむね満足できる経過である。しかしながら臨床応用への課題は多く、さらなる 基礎研究を重ねる必要性を感じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究環境の改善をおこなったうえで国際共同研究をおこなっていくことが 期待される。
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