研究概要 |
PCOS卵巣におけるAMHの意義を明らかにする目的でPCOS卵巣におけるAMH発現を免疫組織化学的に検討した。【方法】PCOS卵巣にはPCOS合併子宮体癌Ic期症例(27歳)の卵巣のホルマリン固定パラフィン包埋組織を,正常卵巣には子宮頸癌Ib1期症例(27歳)の卵巣のホルマリン固定パラフィン包埋組織を用い,それぞれから卵巣長軸の切片を作成した。一次抗体にはヤギ抗ヒトMIS/AMHポリクローナル抗体(R&D Systems社)を用い,ホルマリン固定組織切片を抗原賦活処理した後,ABC法(LSAB+system,DAKO社)で免疫染色した。【結果および考察】非PCOS卵巣では,AMH強陽性の卵胞数が切片あたり3~5個で,径1mm以上の胞状卵胞の顆粒膜細胞層は2~3層であった。一方,PCOS卵巣では,AMH強陽性の卵胞数は切片あたり10個以上と多く,径1mm以上の胞状卵胞でも顆粒膜細胞層が3層以上で厚かった。Pellattらは(JCEM 2007)は分離培養(48h,+/-FSH or LH)した胞状卵胞から得られた顆粒膜細胞のAMH産生をPCOSと非PCOSとで比較し,排卵のあるPCOS由来の顆粒v膜細胞では非PCOS卵巣の4倍,無排卵のPCOSでは75倍であったと報告している。われわれの検討を加味すると,PCOS卵巣の顆粒膜細胞では卵胞あたりの顆粒膜細胞数が増加したうえAMH産生も増加していると推測された。すなわち,PCOSでは顆粒膜細胞の異常が存在することが強く示唆され,さらに詳細な検討が必要と考えられた。
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