研究課題
我々は、血管内皮細胞を用いて卵巣がんの進展・転移に重要な血管新生にRho/ROCK経路が主要な役割を果たすことを明らかとしてきた(Takata K.Mol Cancer Ther)が、この経路の卵巣がんにおける薬剤耐性化の意義を検討するため、患者の同意を得たうえで、臨床検体を収集している。すでに、20検体以上収集し、今後の解析に備えている。昨年計画に追加した研究計画については以下の通り計画が順調に遂行されている。従来の抗癌剤に対して耐性を示す卵巣明細胞腺癌に対するTrabectedine(スペインPharma Mar社より供与)抗腫瘍効果を検討した。(1)Trabectedineが卵巣明細胞腺癌に対して強い増殖抑制効果を示し、その抗腫瘍効果は従来の抗癌薬と比べて有意に高く、卵巣明細胞腺癌に対する有望な抗癌剤であることをin vitroおよびin vivoで確認した。(2)Trabectedine耐性卵巣明細胞腺癌細胞株を樹立し、本薬剤に対する耐性化のメカニズムを解明する基礎研究を開始した。Trabectedineを投与すると、癌細胞のAKT-mTORシグナルが活性化するが、耐性株においてAKT-mTORシグナルの活性化が感受性株に比べ有意に高く、AKT-mTORシグナルが耐性化に関与することが示唆された。さらに、AKT-mTORを抑制すれば耐性化を回避できることが示され、以上の研究成果を米国の癌専門誌に投稿した。現在は、trabectedine耐性化にオートファジーが関与しているかを検討するため、感受性株と耐性株を用いて(1)Trabectedine投与後のオートファジー誘導に差が見られるか?、(2)AKT-mTORシグナルを阻害するとtrabectedineによるオートファジーの誘導にどのような差が見られるかを検討し、耐性を獲得するメカニズムにオートファジーが関与しているか否かを検討する予定である。
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