研究概要 |
1.HPV16/18(2価)ワクチンの臨床試験について;第II相無作為化二重盲検比較試験の中間解析・最終解析を発表した。20~25歳の日本人女性1040名が対象である。ワクチン群の抗体陽転は100%であった。局所・全身症状は,対照群と比べてワクチン群で頻度が高かったが,接種スケジュールに影響はなかった。HPV2価ワクチンは良好な安全性,高い免疫原性が確認された。HPV-032試験において、有効性を対照群と比較した。HPVI6/18の持続感染に対して有意な有効性が得られた。ワクチン群で0/387に対し、対照群では15/392のHPV16/18の持続感染が確認された。 2.CIN病変の進展とHPV型について;CIN112患者570名を3-4か月おきに経過観察(平均39.1か月)した。46名がCIN3へ進展し、362名が正常細胞診となった。残りの162名は存続した。HPV陰性とローリスクHPV型陽性をHR=1とした場合、CIN3への進展リスク(HR)はHPV16(11.1,P=0.02)、HPV18(14.1,P=0.09)、HPV31(24.7,P=0.006)、HPV33(20.3,P=0.02)、HPV35(13.7,P=0.08)、HPV52(11.6,P=0.02)、HPV58(8.9,P=0.04)であった。他のハイリスク型(HPV39/51/56/59/68)はHR4.0(P=0.20)であった。5年間でのCIN3への累積進展率は、HPV16/18/31/33/35/(45)/52/58では20.5%、HPV39/51/56/59/68では6.0%、ローリスク型では1.7%であった。結論として、CIN1/2でのHPV型決定は、CIN3への進展を予測するのに有用であり、治療方針や管理方針に影響を与えると考えられる。
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