研究概要 |
(1)iPS細胞の分化誘導技術の確立 気道上皮への分化誘導:ディッシュに純化したiPS細胞を播種し,酵素処理にて細胞を回収し、多孔性膜上に細胞を播種してAir-Liquid Interfaceの環境下でさらに培養を行った。分化誘導因子としてアクチビンや線維芽細胞増殖因子を培養液に添加した。数週間後に、気管上皮様組織を得た。 軟骨への分化誘導:培養過程で使用していたフィーダー細胞を分離し、マウスiPS細胞を純化した。iPS細胞をコラーゲンゲルに包埋しさらに足場となるコラーゲンスポンジ浸透させ、三次元培養方法として、凝集培養や、単層培養として培養皿上でも、分化誘導し、比較検討を試みた。軟骨分化培地の使用、コラーゲンゲルへのBMP-2や、TGF-β3などの増殖因子添加などによりiPS細胞の軟骨分化を誘導し軟骨様組織を得た。 分化誘導後の評価:H-E染色にて形態的な評価を行った。アルカリフォスファターゼ染色、アルシアンブルー染色、免疫染色、FACS、real-timePCRなどを用いて、形質的な評価を行い未分化性の検証を行った。 (2)分化誘導した細胞を組み込んだスキャフォールドの作製と移植 iPS細胞から分化誘導した軟骨細胞を含むスキャフォールドを気管欠損動物モデルに移植し低率ではあるが気管軟骨様組織を得ることに成功した。in vitroにおいて軟骨に分化誘導したマウスiPS細胞を含んだ人工材料をラットの気管欠損部に移植した(bio-engmeered scaffold)。また人工材料のみの移植をコントロールとした(control scaffobld)。4週間後に摘出し組織学的に評価した結果、bio-engineered scaffoldにおいて軟骨様組織が認められたが、コントロールでは認められなかった。
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