研究課題
本研究計画では、内耳難聴疾患のキーとなる内耳有毛細胞に焦点を当て、多分化能を有する胚性幹細胞(ES細胞)より有毛細胞を作成し、それらを用いた細胞移植治療を目的とした。初年度(平成22年度)から平成23年度にかけて、ES細胞から内耳有毛細胞への効率的な分化誘導を開発した。ある種のストローマ細胞(ST2)の培養上清が有毛細胞様細胞への特異的分化を高効率に誘導することを明らかにし(HIST2法)、分化誘導後の有毛細胞様細胞のキャラクタリゼーションを行った。そこで、本最終年度(平成24年度)では、細胞移植治療を目指したin vivo移植実験とHIST2法における分化メカニズムの解明を試みた。まず、ES細胞より分化誘導を行った有毛細胞様細胞のトリ胚への移植実験を行い、内耳への生着、および有毛細胞のマーカー(Brn3c、Myosin6)の発現を確認することができた。さらに、難聴モデルマウス蝸牛への移植を行った結果、細胞生着を認め、それらの細胞は有毛細胞のマーカーを発現維持していることが明らかとなり、in vivoにおける移植治療の基盤的知見を得ることができた。また、HIST2法によって分化誘導する際に有毛細胞の分化に必須の転写因子Math1に着目し、Math1遺伝子導入による分化効率の変化を詳細に解析した結果、Math1はES細胞から有毛細胞への分化誘導に効果的な因子であることが実証され、さらにHIST2法によって分化誘導された有毛様細胞は、Math1依存的に誘導することが明らかとなった。さらに現在、霊長類ES細胞を用いて有毛細胞の作製を試みており、分化誘導効率の算出および分化メカニズムの解明を進めている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Exp Ther Med
巻: 4 ページ: 21-25
Cell Death & Disease
巻: 3 ページ: e314―e324
10.1038/cddis.2012.56.