研究課題/領域番号 |
22390326
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坪田 一男 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40163878)
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キーワード | ドライアイ / 涙腺 / 加齢 / 角膜 / 酸化ストレス / 機能性食品因子 |
研究概要 |
加齢・酸化ストレス亢進による、涙液分泌機能低下を介したドライアイの発症機序、およびその分子メカニズムを解明する事を目的としている。ドライアイは視力に影響をおよぼす疾患であり、加齢性変化と重症度に関係すると言われている。その他にも涙腺の加齢による酸化ストレス状態の亢進によって生じるドライアイは多いにも関わらず、涙腺の加齢とドライアイ発症の分子メカニズムに関して詳細に検討している報告は殆どない。初年度は抗酸化酵素欠損マウスを用いることによってドライアイの病態に深く関与する涙腺破壊と酸化ストレスの関係を動物レベルで明らかにした。2年目では加齢による涙液分泌への影響を明らかにするため抗老化遺伝子欠損マウスを用いて涙液機能の検査、涙腺および角結膜の組織学的解析、酸化ストレスと涙液分泌能の変化を評価した。その結果、抗老化遺伝子欠損マウスにて涙液分泌の減少が認められ、加齢性変化による酸化ストレス亢進が、ドライアイ様所見を呈することを明らかにした。さらに加齢に伴う酸化ストレスと炎症に着目し、高齢抗酸化酵素欠損マウスの涙腺では高齢野生型マウスと比較し、涙腺組織破壊と炎症性細胞の浸潤が亢進している事を明らかにした。以上の結果はドライアイと加齢による酸化ストレスが密接な関係にあると考えている。今後も継続して加齢性の遺伝子改変マウスおよび酸化ストレス亢進マウスを利用し、加齢がおよぼす涙液分泌機構の詳細な分子メカニズムとドライアイ様病変への影響を明らかにする。これら加齢性変化と涙液分泌機構の分子メカニズムを解明することはドライアイの新しい予防療法、治療法を開発する上で重要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画的に遺伝子改変マウスの繁殖が堆み、加齢・酸化ストレス亢進による、涙液分泌機能低下を介したドライアイの発症機序の解明に向けた結果が着実に得られつつある。最終年度の計画を予定通り実行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度も継続して加齢による酸化ストレス亢進によるドライアイの病態解明に向け邁進するが、予防医学的アプローチおよび今後の治療方法の可能性を探索するために機能性食品因子による介入試験を実施していく予定である。
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