加齢・酸化ストレス亢進による、涙液分泌機能低下を介したドライアイの発症機序、およびその分子メカニズムを解明する事を目的としている。ドライアイは視力に影響をおよぼす疾患であり、加齢性変化と重症度に関係すると言われている。その他にも涙腺の加齢による酸化ストレス状態の亢進によって生じるドライアイは多いにも関わらず、涙腺の加齢とドライアイ発症の分子メカニズムに関して詳細に検討している報告は殆どない。初年度は抗酸化酵素欠損マウスを用いることによってドライアイの病態に深く関与する涙腺破壊と酸化ストレスの関係を動物レベルで明らかにした。2年目では抗老化遺伝子欠損マウスにて加齢と涙液分泌の関係を検討し、加齢性変化による酸化ストレス亢進が、ドライアイ様所見を呈することを明らかにした。最終年度では加齢と酸化ストレス亢進によりドライアイを発症する病態モデルマウス(各種遺伝子改変マウスも含む)に対して、抗酸化作用を有する機能性食品因子によって涙液分泌量の変化等のドライアイ病態に対する介入試験を検討した。その結果、機能性食品因子の摂取によって涙液分泌の減少が予防されることが明らかとなった。これら結果により、ドライアイと加齢による酸化ストレスが密接に関係することが明らかとなり、予防が可能であることを示した。加齢性変化と涙液分泌機構の分子メカニズムを解明することはドライアイの新しい予防療法、治療法を開発する上で重要と考えられる。
|