研究概要 |
前年度に引き続き、JpLT-2で治療され、腫瘍が保存されている約200例の腫瘍と、細胞株としてHepG2、JpLTで樹立した細胞株JPHB-1,2,3を用いた。 1.網羅的遺伝子変化の検索:前年度と合わせて約100例の肝芽腫腫瘍DNAを現有のGeneChipシステムにてSNPアレイを用いて、全染色体上にある約300万個のSNPsのシグナルを検出した。同一患者の正常組織と比較し、染色体1q,2q,3p,17qに加えて11q,13pに高頻度に異常を認めた。 2.網羅的遺伝子発現の検索:全ゲノム型の発現解析アレイにて検索した結果を、ゲノム異常のある部位と関連から、ゲノムに依存して変動している遺伝子とそれ以外で変動している遺伝子群に層別した。これらをパスウェイ解析した結果、WntシグナルとPI3K/Aktシグナルの変動が抽出され、ゲノム異常による変化に引き続き変動が生じつている可能性が示唆された。 3.Wntシグナル異常、テロメラーゼとネットワーク解析:本症で高頻度に見られるWntシグナル異常、それと昨年関連が示されたTERT(telomerase reverse transcriptase)について、そのネットワークを解析したところ、その下流遺伝子として、MYC,CyclinD1,PPARα、Survivinの有意な発現上昇がみられ、肝芽腫の生物学的特性との関連に示唆された。臨床リスク分類との関連から、TERTとWntシグナル関連遺伝子にて特性を層別し、Cyclin D1とSurvivinに着目した。 4.セルテスティング、アニマルテスティング:上記の2遺伝子についてSiRNAによる肝芽腫細胞株での遺伝子発現阻害では、Survivin抑制にて細胞増殖抑制がみられたが、NOD-SCIDマウスへの腫瘍接種による効果判定では単独遺伝子抑制では効果はなかった。
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