研究課題/領域番号 |
22390328
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上松瀬 新 広島大学, 大学病院, 病院助教 (90569881)
|
研究分担者 |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
小倉 薫 広島大学, 大学病院, 講師 (10346653)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (90309352)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
キーワード | 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 薬剤反応性 / マイクロアレイ / 臨床 |
研究概要 |
前年度に対象とした検体に加えて、両親のDNA23組も対象として、SNP解析用アレイにて高頻度に欠失あるいは二本が同一親由来のホモ領域での共通欠失領域の同定を試みたところ、11番と13番、19番染色体に候補部位が見出された。これらの欠失部位での欠失アレルの親由来を検討したところ、11番と13番染色体で母方或いは父方に有意に偏って欠失を認め、これらの部位から、肝芽腫の発生に関わるインプリンティングの検索と同定をおこなった。その結果、6遺伝子がその領域内に存在し、網羅的遺伝子発現検索から検討すると腫瘍で4遺伝子の発現が低下しており、残りの2つの遺伝子は発現が上昇していた。これらは、インプリンティング遺伝子の可能性があり、発現上昇した遺伝子は父性遺伝子であった。そこで、肝芽腫に関与するインプリンティングも含めて、遺伝子発現変化の機序、ネットワーク解析を行ったところ、Wntシグナル下流遺伝子とTERT遺伝子発現レベルがリスクと有意に関連していることが示された。そこで、Wntシグナル異常、テロメラーゼとネットワーク解析から、MYCをはじめとする10数個の遺伝子が抽出された。 選別された分子標的MYC選別し、これに対するsiRNAを肝芽腫細胞株(HEpG2並びにJPHB1,2,3)に投与して、細胞内代謝産物の変動を検討したところ、増殖停止とともにアポトーシスと肝還元酵素の誘導が生じていた。肝芽腫細胞株を皮下注射して腫瘍を形成させたNOD-SCIDマウスでのin vivoでMYCのsiRNAの局所投与をおこなった腫瘍増大は継続し、有意な病理学的差異は認められなかった。上記の結果から、Wntシグナル下流遺伝子とTERTによって肝芽腫のリスク評価が可能であった。その下流遺伝子の一つであるMYC単独の抑制では有効な効果はえられず、さらに標的を変更、或いは追加することが必要と考えられた。
|