研究分担者 |
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00399924)
小山 明彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (70374486)
舟山 恵美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10533630)
林 利彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (00432146)
斎藤 亮 北海道大学, 大学院・医学研究科, 非常勤講師 (70507574)
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研究概要 |
顔面神経麻痺に対する再建後の運動神経信号の付加が起こっていることを確認するために,顔面表情筋で発現するメッセンジャーRNAであるMyogeninに注目した。ラットを用いて顔面神経本幹を切断したモデルと,切断直後に断端同士を縫合したモデルを作成し,1~28日後の期間,時系列で上口唇の筋肉におけるMyogeninの発現をリアルタイムPCRを用いて定量解析を行った。同時に,同じ時系列で眼輪筋の採取を行い,眼輪筋の垂直断面における筋細胞の断面積を測定した。また,逆行性神経トレーサーにより,縫合モデルにおける神経繊維の連続性を確認した。今回はそれに加えて顔面神経本幹を血管クリップで絞扼し,顔面表情筋の不全麻痺モデルを作製し,同様にリアルタイムPCRを用いてMyogeninRNA発現の定量を行った。結果,不全麻痺モデルでは切断モデルにおいて術後14日まで発現の上昇が認められた後,速やかに発現の低下が認められ,切断後縫合モデルにおいては4日で発現がピークを迎え,その後徐々に低下を認めたのに対し,明らかなピークを認めず,発現量も切断モデルと切断後縫合モデルの間の値を示した。そして3種類のモデルのいずれにしても術後28日にはほぼ同等の低い値にRNA発現が収束する傾向が認められた。これらの実験の結果は筋細胞分化において発現が増加し,神経信号による刺激で発現が低下するとされるMyogeninにおける過去の実験結果に矛盾しないと考えられた。今後,顔面神経本幹に舌下神経を端側縫合したモデルを作製し,それぞれ中枢側の顔面神経本幹を切断した完全麻痺モデル,更にクリップにより不全麻痺モデルを作製し,それぞれについてMyogeninRNA発現を定量し,神経端側縫合により神経信号を付加した際のMyogenin発現及び筋細胞の評価により神経信号付加の証明が解析されると考える。
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