研究概要 |
マウス細胞を用いた研究で、非接着培養皿で培養を開始すると、培養開始1週間でWntシグナルとNカドヘリンの発現が増強することが示された。Wntは毛乳頭の毛包誘導能を維持する働きがあり、毛包形成の中心的な役割を果たしている。非接着培養皿の培養を行うとN-カドヘリンの増強とともに、β-カテニンも劇的に増加し、核への集積も認められた。古典的Wntシグナルは、β-カテニンの増加と核移行を介してシグナルが伝達されることを考えると、非接着培養皿の培養により、N-カドヘリンの発現が増強し、それに伴い古典的経路のWntシグナルが活性化され、毛包誘導能を獲得できたと考えられた。 非接着培養の細胞凝集塊形成で、N-cadherinとβ-cateninが増強し、Wntシグナルも増強した。ヒトの線維芽細胞も同様に、非接着培養によるN-カドヘリンと、Wntシグナルの増強を介して毛包誘導能の獲得に関与しているという可能性を調べた。その結果、ヒト線維芽細胞でも同様に、細胞凝集塊を形成させることで、Wntの活性化が確認された。さらに非接着培養による毛包誘導獲得のその他のメカニズムに迫るために、毛包誘導に関係していると考えられている、BMP2,4,Wnt4,5,7,10bなどにつき、2次元培養と非接着培養での発現の差異をRTPCRで観察し、変化のあった分子に対してsiRNAを用いてノックダウンを行い、その発現の変化と、凝集塊形成の変化につき調べた。
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