目的:骨髄間質細胞は神経の再生に有効であることが認識されてきている。まず骨髄間質細胞の脊髄由来neurosphereに対する作用を培養系で調べ、次に骨髄間質細胞を脊髄に損傷をくわえたラットの損傷部へ移植して神経再生に対するその効果を調べた。 方法:GFP (green fluorescein protein)トランスジェニックラットの骨髄を採取し培養し骨髄間質細胞を得た。一方、ラット胎児より脊髄を採取、培養しneurosphereを得た。 <培養実験>1.骨髄間質細胞とneurosphereを混合して無コートのディッシュで培養した。2.あらかじめ骨髄間質細胞を培養しておいたディッシュに後でneurosphereを加えて培養した。 <移植実験>ラットの脊髄(T8-9)に挫滅損傷を与えた後、1×10^6個の骨髄間質細胞を損傷部へ直接注入した。細胞移植しないコントロール群も作製した。 結果:<培養実験>1.neurosphereは培養ディッシュの底に張り付き長い突起を出していた。2.neurosphereは徐々にディッシュの底に張り付き突起を伸ばしていった。neuroshereは骨髄間質細胞を押しのけるように増殖していた。それぞれのneurosphereはお互いに細い突起でつながっていた。<移植実験>移植された骨髄間質細胞は損傷部に生着していたが、その数は時間の経過と共に減少していった。損傷部にできた空洞の体積はコントロール群にくらべて小さかった。行動の回復に関しては、移植群の内何匹かのラットは体重を後ろ足で支えることができ、前足と後ろ足の協調運動も観察された。コントロール群では体重を支えることはできず、協調運動も認められなかった。
|