研究課題/領域番号 |
22390334
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水谷 太郎 筑波大学, 医療医学系, 教授 (80181890)
|
研究分担者 |
下條 信威 筑波大学, 医療医学系, 講師 (20462210)
河野 了 筑波大学, 医療医学系, 講師 (90323295)
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
|
キーワード | 敗血症ショック / 血管内皮機能 / 敗血症モデルラット / ランジオロール |
研究概要 |
前年度に引き続き、以下の3つのプロジェクトを実行した。 プロジェクト(1)血管内皮障害をもつ敗血症ショック併発患者の実態調査と予後調査 プロジェクト(2)基礎的病態研究:リポポリサッカライド投与モデル動物による分子病態・病理研究 プロジェクト(3)血管内皮障害による敗血症ショック患者のリスク層別化の臨床研究:新たなバイオマーカー・検査法の検討・開発・応用、基礎疾患からの予測 その2年度目(H23年度)において、我々は敗血症モデルラットを用いた基礎研究(プロジェクト(2))を中心に行い、筑波大学病院ICUにおける臨床研究(プロジェクト(1)、(3))のため、本院倫理審査委員会の評価を受ける準備を継続した。成果としては、プロジェクト(2)についてこれまで3本の学会発表を含め、結果報告とともに今後の展開のための情報収集を行った。報告内容としては、超短時間型β1遮断薬であるランジオロールの敗血症急性期治療での効果を示したことが特筆すべきであり、エンドトキセミアモデルラットにおいて、ランジオロールは中枢性には亢進した心機能を抑えるが、末梢性(肺、腎)ではIL-10、およびエンドセリンを介した抗炎症作用、血流調整作用を示した。特に、ランジオロールの直接の抗炎症作用については、もっとも注目すべきデータである。プロジェクト(1)、(3)については、本院倫理審査委員会通過したものの(H23年7月)、人事異動などによるスタッフ人員不足、また、適応症例不足などもあり、今後も少しずつ症例を集めていく予定である。プロジェクト(2)については、予想以上の十分な成果が得られていると考えられ、論文としで報告する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト(1)(臨床調査)に関しては、倫理審査委員会の審査や人事異動などによる人員不足もあり、やや遅れ気味ではあるが、プロジェクト(2)(基礎研究)に関しては、予想以上の成果を上げている。特に、ランジオロールの直接の抗炎症効果の可能性が示唆されたたことは、今後の研究の発展につながると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
プロジェクト(1)(臨床調査)について今後も臨床調査を進めていく。本年度は人員も整い、目標の100症例を50症例として、調査の完了を目指す。その後、プロジェクト(3)につなげる。プロジェクト(2)(基礎研究)に関しては、予想以上の進展を示しており、ランジオロールの直接の抗炎症効果のメカニズムの解明をin vitroの実験とともに進めると共に、各臓器(心、肺、肝、腎、脳)の効果の違いを詳細に検討する。その結果を論文としてまとめ、臨床試験を行うための根拠とする。さらに、新たな研究課題の作成を行い、今後も本研究の発展につなげる。
|