研究課題/領域番号 |
22390337
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
磯谷 栄二 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90251529)
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研究分担者 |
大友 康裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯総合研究科, 教授 (40176946)
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キーワード | 敗血症 / DIC / トロンボモジュリン / アンチトロンビンIII / マウス敗血症モデル / 急性肺障害 / 多臓器不全 / 内皮細胞障害 |
研究概要 |
敗血症に伴う多臓器不全は、虚血再灌流による内皮細胞障害が原因である。敗血症に伴う多臓器不全の治療では、血行動態の改善・感染巣のコントロールに加えて、内皮細胞障害に対する治療方法が必要である。内皮細胞障害による血栓形成の主たる原因物質はトロンビンであり、トロンビンの制御は内皮細胞機能を維持するには不可欠である。内皮細胞上には内因性のトロンボモジュリンとアンチトロンビンによるトロンビンの制御機構が存在するが、敗血症ではこれらの制御機構が破綻することで、さらなる内皮細胞障害を惹起する。また、トロンボモジュリンとアンチトロンビンには抗炎症効果も期待されている。本研究では、重症敗血症患者においてトロンビン制御機構を回復させることで、抗炎症効果を惹起し転帰の改善につなげることを目的とする。 臨床研究 敗血症性DICの患者に対して、トロンボモジュリンアルファのランダム化試験を施行中である。現在までにトロンボモジュリンアルファ投与群18例・非投与群24例エントリーされている。中間解析を行ったところ、投与群では急性期DICスコアは有意に早期改善した。特に血小板数は、非投与群で一旦低下した後に回復傾向に転じるのに対して、投与群では投与直後から血小板数の有意な増加がみられる。また、炎症反応においても、非投与群で一旦悪化した後に改善傾向に転じるのに対して、投与群では投与直後から炎症反応の改善がみられる。これらの結果はトロンボモジュリンアルファの有する抗DIC作用と抗炎症作用に他ならない。 基礎研究 マウスエンドトキシンチャレンジモデルの急性肺障害に対するトロンボモジュリンアルファおよびアンチトロンビンIIIの抗炎症効果を確認する目的で開始した。現在急性肺障害が再現性をもって出現することを確認したところであり、いまだ薬剤投与の効果判定には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究については42例が登録されており、トロンボモジュリン投与群・非投与群の群間比較によって、トロンボモジュリンの抗凝固作用と抗炎症作用が確認されつつある。一方、primary outcomeである生存率の改善については、さらに症例を重ねる必要がある。基礎研究については、安定した敗血症性急性肺障害モデルが出来つつあるので、現在薬剤投与による効果判定の方法を模索中である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究については、生存率の改善が確認できるだけの症例を積み重ねることに尽きる。その後、本研究をもとに、全国規模の多施設共同研究を予定しているが、その際に本研究で得られた成果がプロトコール作りに大いに役立つものと期待している。基礎研究では、薬剤投与による効果を安定した方法で評価できる項目が決まり次第、効果判定に移る予定でいる。
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