研究課題/領域番号 |
22390341
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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研究分担者 |
依田 浩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60293213)
中冨 満城 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10571771)
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
本田 雅規 日本大学, 歯学部, 准教授 (70361623)
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キーワード | 歯髄幹細胞 / BrdU / 歯の他家移植 / 象牙質形成 / 骨組織形成 / 象牙質・歯髄複合体 / in vitro / 象牙芽細胞 |
研究概要 |
平成23年度では、主に下記の二つの実験で成果を得た。 (1)マウス他家移植後の歯髄治癒過程における歯髄組織幹細胞の分化能および細胞増殖とアポトーシスとの関連 胎生期ラベリング法を用いて歯の移植後の歯髄治癒過程におけるLabel-retaining cells (LRCs)の分化能および細胞増殖とアポトーシスとの関連を検索した。妊娠ICRマウスに3日間BrdUを腹腔内投与し、ラベルマウスと非ラベルマウス間で上顎第一臼歯を深麻酔下で抜去後、歯冠部を舌下部へ相互に他家移植した。術後1日から2週後に灌流固定し、EDTA脱灰後に抗ネスチン、抗オステオポンチン、抗BrdU、抗Ki-67免疫組織化学およびTUNEL染色を光顕にて観察した。ラベルマウスの歯の歯冠部を非ラベルマウスの舌下部へ移植した場合、術後1日ではLRCsは髄角部に局在していた。術後3~5日ではLRCsは歯髄全体に認められ、そのあるものはKi-67陽性を示していた。術後7日以降ではLRCsはネスチン陽性の象牙芽細胞様細胞にコミットされており、それ以外の一部のLRCsはTUNEL陽性を示していた。非ラベルマウスの歯の歯冠部をラベルマウスの舌下部へ移植した場合、術後3~5日後にLRCsが歯髄内に認められ、そのあるものはKi-67陽性を示していた。術後7日以降ではLRCsは象牙芽細胞または骨芽細胞へコミットされず歯髄内から消失していた。以上より、歯の移植後の歯髄治癒過程において、LRCsは増殖能および象牙芽細胞への分化能を維持しており、またドナー細胞とホスト細胞との相互作用が歯髄組織の再構築に重要な役割を果たすことが示唆された。 (2)ネスチン-GFPマウスを用いた象牙質・歯髄複合体のin vitroイメージング・システムの確立 生後3週齢ネスチン-GFPマウスの上顎第一臼歯を抜歯後、スライス切片を作製し、Trowell法にて0~7日間培養する器官培養系の確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者が所属する岩手医科大学のキャンパス移転に伴い、GFP骨髄移植マウスを作製する環境の構築に時間がかかっており、GFP骨髄移植マウスを用いた歯の移植実験の実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
GFP骨髄移植マウスの作製に時間がかかる場合は、GFPマウスの骨髄細胞を摘出し、野生型マウスの血管にGFPラベルされた骨髄細胞を注入し、歯の移植を行う実験系を実施することで、本研究課題を推進することが可能になると思われる。
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