研究課題/領域番号 |
22390342
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大原 直也 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
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研究分担者 |
中山 真彰 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10579105)
大原 直子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80301365)
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キーワード | 歯周病原細菌 / Porphyromonas / gingivalis / 細胞内寄生 / 感染 / 嫌気性菌 |
研究概要 |
P.gingivalisの宿主細胞への侵入・生存に関し、P.gingivalis 33277株を歯肉上皮細胞株HSC-2細胞に感染させ、その後宿主細胞内における菌の動向を調べた。感染直後より細胞内の菌数は急速に減少するが、感染6時後においても一定の菌数は宿主細胞内に生存した。 次に宿主細胞内における生菌の動向を観察するために蛍光顕微鏡で観察可能なP.gingivalisの作製を試みた。一般的に使用されるオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質を産生するP.gingivalisを作製した。嫌気的に培養した菌であっても好気条件下に移動させると微弱な蛍光を発した。しかし、モニタリングするには蛍光強度が不足したため、他の蛍光タンパク質の発行を試みたが、大幅な改善を行なうことはできなかった。 宿主細胞への寄生(感染)に関連し、マクロファージ系細胞への影響を調べた。M-CSF誘導型マウス骨髄由来マクロファージはRANKLにより破骨細胞へと成熟分化するが、RANKLによる分化誘導の初期にP.gingivalisを感染させると破骨細胞への分化を阻害することを示した。そこで免疫応答に関わるtoll-like receptor(TLR)やそのアダプター分子MyD88とTRIFに注目し、これら分子のノックアウトマウス由来のマクロファージ細胞を用いて検討したところ、受容体関連ではTLR2-/-、アダプター分子ではMyD88-/-マクロファージ細胞において破骨細胞の形成が認められた。しかし、TLR2-/-マクロファージ細胞における破骨細胞の形成は野生株に比し60-70%であり、TLR2が部分的に関与していることが考えられた。従って、P.gingivalis感染による破骨細胞分化抑制には、部分的にTLR2が関与し、MyD88が必須であることが明らかとなった。
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