研究概要 |
クロマチン構造は遺伝子発現を調節する重要な要素であり、このクロマチン構造を維持あるいは変化させるのは、DNA配列のCpGメチル化とヒストン修飾である。本研究は骨格系細胞におけるそれらのエピジェネティックな変化を解析し、分化とどのように関わるかを解析することを目的としている。今年度は以下の結果を得た。 1)骨格系細胞分化におけるヒストン修飾酵素の発現変動を解析した。ヒストン修飾酵素であるsetdb1, chd7, EZH2 G9a GLPなどの発現を確認し、それらが分化に伴って、一時的に増加しそれ以降経時的に減少することを見出した。またそれらの発現変動の多くは、分化に伴って発現が変化するLine-1フラグメントを有する複数の遺伝子と類似していた。 2)ヒストンメチル化酵素阻害による効果の検討 骨格系細胞分化においてG9aが特徴的な分化変動を示すことから、G9aの阻害を行うBIX 01294を用い、G9a-HMTase.の阻害剤による効果を検討した。10T1/2細胞においてsox9の発現が上昇していることがわかった。一方でPPARgamma, osterixなどは影響を受けなかった。一方でLine-1フラグメントを有する複数の遺伝子の発現はむしろ上昇していた。3)ヒストン修飾酵素抗体によるChip解析ならびに免疫組織化学Chip解析を行う予備的検討として、各抗体の特異性をチェックした。具体的には、各種各社の抗体についてGAPDH promoter近傍をターゲットとした、Chip解析ならびに、共焦点顕微鏡による細胞内局在を比べた。抗体はH3, H3K9me0, me1, me2, me3を用いたところ、とりわけme2の特異性がメーカーにより異なるため、結果の解釈に注意が必要であることがわかった。それらの抗体を用い、現在遺伝子プロモーター部位のChip解析を行っている。
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