研究課題/領域番号 |
22390345
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
沢 禎彦 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (70271666)
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研究分担者 |
加藤 幸成 山形大学, 医学部, 准教授 (00571811)
谷口 邦久 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90105685)
敦賀 英知 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (30295901)
鍛冶屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
畠山 雄次 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40302161)
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キーワード | リンパ管内皮細胞 / ポドプラニン / 血小板 / CLEC2 / PMab-1 / NZ-1 / 唾液腺 / 脈絡叢 |
研究概要 |
ヒトpodoplanin cDNACAB127958)組込みpcDNA3導入HSC3の培養ヒト皮膚リンパ管内皮細胞単層培養物への接着を調べたところ、mockよりも接着細胞が有意に多く、その接着は抗podoplanin抗体で阻害された。この接着は血小板で増強し、抗CLEC2抗体で阻害された。Podoplanin発現性HSC3細胞およびマウスpodoplanin発現性メラノーマ細胞株B16-F10をヌードマウスに移植し、肺転移ならびに生存率を検討した結果、podoplanin発現細胞株の移植マウスの肺転移は、非発現株と比較して有意に増大し、生存率は低下すること、このことは我々の新規開発抗体NZ-1ならびにPMab-1によって有意に阻害される可能性を同時に見出し、追加試験中である。さらに、podoplanin発現が転移に関与するケモカインを数種、発現するようになる事について、合わせて論文作成中である。一方、これら新規開発抗podoplanin抗体の組織為害性を検討するため、正常組織におけるpodoplaninの発現を合わせて検討した。この結果、これまで報告のある口腔・リンパ管の他、唾液腺筋上皮、歯胚上皮、および脈絡叢における強い発現を見出した。これらから、頭頚部消化管がんの治療を目標とするpodoplanin認識抗体は、唾液腺、歯牙および脳に副作用を生じる可能性を否定出来ず、現在、マウス実験を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、扁平上皮癌のリンパ管内皮細胞へのCLEC-2-PLAG複合体を介した接着、ならびにpodoplanin陽性細胞のCLEC2-PLAGを記したリンパ管への接着の形態学的証明をほぼ終了し、論文作成中であること、また、マウス実験によりリンパ管内皮細胞のpodoplanin発現増大による扁平上皮癌のリンパ行性転移の促進のin vivo実験を終了し、リンパ管内皮細胞にCLEC2-PLAGを介して接着した腫瘍細胞の癌性形質発現を、関連遺伝子のマイクロアレイの網羅的検索による変動遺伝子の絞り込みによって特定した。現在、これらのPCR解析を行っており、平成23年度実験計画目標がほぼ達成されためである。
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今後の研究の推進方策 |
現在開発と特許申請の終わった抗podoplanin抗体NZ-1,NZ-8,PMab-1の抗ガン作用(抗転移作用)を解析する。これまでの市販抗podoplanin抗体D2-40は、血小板CLEC2が結合するpodoplaninのPLAGに対する結合活性は無いため、血小板とpodoplanin陽性癌細胞との接着(血小板凝集)あるいは内皮細胞と癌細胞との血小板CLEC2を介した接着を阻害する(転移を阻害する)ことが出来ない。我々の検討している新規抗体の血小板凝集阻害が明らかとなれば、新規抗がん剤としての有用性の検討へ、発展が期待される。
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