研究課題/領域番号 |
22390346
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 正人 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30236757)
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研究分担者 |
梨本 正之 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 教授 (30228069)
根本 英二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40292221)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Wntシグナル / 骨芽細胞 |
研究概要 |
本研究は,骨芽細胞・骨細胞と造血幹細胞の異種組織間における機能的クロストークとこれを介する分子としてのWntシグナル分子の役割を明らかにすることを目的とする.マウス骨髄から採取した未分化間葉系細胞およびST-2細胞の培養系に,本研究で前年度調整したWnt3aもしくはWnt5a組換えタンパク質を加え,細胞からRNAを抽出した.造血幹細胞の種々の活性に影響を与えるTGF-b, Cripto(TDGF-1),PDGFなどのmRNA発現量をリアルタイムPCR法により測定した.Wnt3aにより未分化間葉系細胞でのCriptoの発現が有意に増加することが明らかになった.また,ウエスタンブロット解析からWnt3aとBMP-2の添加によりMMP-13のタンパク量が増加した.GSK-3beta sgRNAを用いたノックダウンや低分子Wntシグナル阻害剤であるIWR-1を加えCripto mRNA発現を検討したところ,著しく発現が低下した.CriptoはST-2細胞においてTGFβの作用を抑制した.骨細胞様細胞の培養上清を添加して培養した.これらの細胞からRNAもしくは総タンパク質を回収し,マイクロアレイもしくはリアルタイムPCR法を用いて遺伝子発現を検討した.また,ウエスタンブロットを用いてタンパク質の発現量の変動を調べた.造血幹細胞の分化機能に影響を及ぼす因子,造血幹細胞から血液細胞への分化に及ぼす因子およびWntシグナル関連分子などいくつかの因子の発現が変動することを見出した.BMP応答領域-luciferaseレポーターやWnt応答領域-luciferaseレポーターの転写活性も変化した.また,培養上清の添加により,エリスポイエチンmRNAの発現は増大した.これらの結果は,骨芽細胞・骨細胞と造血幹細胞の異種組織間における機能的クロストークの存在を示唆するものと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wntシグナルの骨と造血系への相互作用の解析が進行し,造血幹細胞の活性を変化させる分子とその重要性が見いだされた.世界に本研究の成果を発信し,海外からも研究成果に関する問い合わせを受けており,おおむね順調に進展しているものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
骨細胞から造血幹細胞へのシグナル伝達分子の同定を引き続き行う.骨細胞培養系を用い,BMP応答領域-luciferaseレポーターやWnt応答領域-luciferaseレポーターを用いて,ルシフェラーゼ活性を測定し反応性を明らかにする.造血幹細胞培養系に,骨細胞の培養上清を添加して培養する.これらの細胞のマイクロアレイ解析から,骨細胞が産生するシグナル因子を同定を進める.また,骨細胞もしくは骨芽細胞が産生する因子によって,造血幹細胞の分化機能がどのように変化しうるかを検討して,造血幹細胞から血液細胞への分化に及ぼす影響を明らかにすべく研究を推進する.
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