研究概要 |
【目的】歯周病関連細菌 Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)が細胞内へ侵入することにより,様々な細胞機能傷害等を引き起こすことが報告されている。しかし,詳細な細胞内侵入メカニズムは明らかにされていない。細菌の侵入経路としてはエンドサイトーシスがあり,その早期経路において低分子Gタンパク質のRab5は重要な制御因子として知られている。Rab5には活性型と不活性型が存在し,この活性変化により高度にエンドサイトーシスが制御されている。そこで本研究では,Rab5に着目し,歯肉上皮細胞内への P. gingivalis の侵入機構を検討した。 【材料および方法】GFP-Rab5(Q79L : 活性型Rab5)及び,GFP-Rab5(S34N : 不活性型Rab5)を発現させた歯肉上皮癌細胞(Ca9-22 細胞)を作製した。Ca9-22 細胞とP. gingivalis ATCC 33277株を共培養した。その後,蛍光免疫染色によりRab5とP. gingivalisの細胞内局在を観察した。また上記共培養後,塗抹法により細胞内へ侵入したP. gingivalisの菌数を定量した。 【結果および考察】活性型Rab5を発現させたCa9-22 細胞では,P. gingivalisとRab5の共局在を認めた。一方,不活性型Rab5を発現させたCa9-22 細胞ではRab5とP. gingivalisの共局在は認められなかった。また,塗抹法により細胞内に侵入した菌数を比較したところ,活性型Rab5を発現させた細胞では,不活性型Rab5を発現させた細胞に比べ菌数が多かった。以上の結果から,Rab5は,P. gingivalisの歯肉上皮細胞への侵入に関与していることが示唆された。
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