研究概要 |
本研究は、ナノテクノロジーを歯質接着の領域に幅広く導入することを目的とした3年間のプロジェクトである。初年度の研究は、今後の研究期間で用いる材料のスクリーンニングを主体として行った。まず、PCRのサーマルサイクラーを購入して、劣化の加速試験が可能かどうかを検討したところ、20,000回の負荷を加えることで、接着システムによっては劣化像が認められることが判明した。また、マイクロテンサイル試験方法にも改良を加えた。これは、新規購入のEZ-testと新規ジグを用いて、試験片とジグとの間で滑りのない確実な測定を可能にしたものである。この新たな試験方法を用いて、新規開発の疎水性接着システムは接着耐久性に優れていることを見いだし、これらの材料がナノテクノロジーを用いた接着材へのコントロールとなることが判明した。 白金名のコロイドを用いた研究では、MMA-TBB系の接着システムの性能の向上は認められるが、至適濃度/作用時間などの部分に解決を待たねばならないことがあり、加えてテクニックセンシティブなところがあり、今後の更なる検討が必要である。また、デュアルキュアー型の接着システムに関しても白金ナノコロイドが大きな性能向上を導くことが認められ、従来用いられていたジグでは測定不可能なレベルに達している。白金ナノコロイドのプライマーとしての応用の試み、あるいはエッチング溶液に混合し、2ステップ化を図る試みにも着手している。これらをもとに、今後の新たな研究の展開が期待される。
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