研究概要 |
【目的】H_2O使用時の給・排気系の結露を防止し,H_2Oプラズマの安定生成を確立し,生体に優しいH_2Oプラズマによる環境にクリーンな低温滅菌法を開発することである。【方法】1)工業用プラズマエッチング装置(PACKIII、ワイエイシイ,同軸電極)を用いて,水プラズマの安定生成と給排気系の結露防止策について検討した。2)樹脂袋で包装された10^6個の芽胞(G.stearothermophilus 7953)付着のステンレスディスク(SGMディスク、メルク社製)を試料として,出力150W、チャンバ温度60℃、処理時間10分に固定し,処理ガスの種類(O_2、N_2,H_2O)、ガス圧力(17Pa~75Pa)、試料包装の有無をパラメータとしてプラズマ処理した。処理後の芽胞の形態変化を走査型電子顕微鏡(電界放出型,日立S-4700)にて加速電圧3kV、倍率×20kで観察し,滅菌機序推察の一助とした。また,滅菌効果はソイビーンカゼインダイジェスト寒天培地にて培養して検討した。【成果】1)チャンバの真空到達度,水蒸気供給量と給・排気タイミングの適正化により,給排気系の結露防止システムを確立した。2)H_2Oプラズマの滅菌効果は,H_2O供給装置の液体微小マスフロメーターを超極微量用に交換したことで、O_2プラズマには及ばなかったものの,N_2プラズマより,高い効果を示す処理条件を追求できた。3)同一のガス種でも,ガス圧力,包装の有無によって,芽胞の形態変化が異なった。また,包装試料は,必ずしも未包装試料より滅菌効果が減衰するとは限らず,その逆の例も存在した。以上の結果を踏まえて,次年度は,処理条件毎に滅菌に有効な活性種の種類,量を発光スペクトル解析で検討するとともに,プラズマ滅菌の最抵抗菌種がG.stearothermophilusであるかどうかについても検討していく予定である。
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