研究課題/領域番号 |
22390356
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
玉澤 かほる 東北大学, 病院, 講師 (00124602)
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研究分担者 |
玉澤 佳純 東北大学, 病院, 准教授 (10124603)
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (40292221)
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キーワード | プラズマ / 低温滅菌 / 水 / 生体適合性 / 芽胞 |
研究概要 |
【目的】H_2Oプラズマで処理したときの滅菌効果、器材の表面性状、生体適合性について検討することである。 【方法】工業用プラズマエッチング装置(PACKIII、ワイエイシイ,同軸電極)を用いて,出力150W、チャンバ温度60℃、ガス種(H_2O、O_2、N_2)、H_2O流量5~20sccm、処理時間10分として、プラズマ処理を行った。1)滅菌効果:G.stearothermophilus7953のBI(バイオロジカルインディケータ、10^6個芽胞/SUSディスク、SGM、メルク社製)を水プラズマで処理し,SCD寒天培地にて48時間培養した。2)最抵抗性菌の検討:3種のBI(G.stearothermophilus、B.atrophaeus、B.pumilus)についてプラズマ処理し、滅菌効果を検討した。3)歯科切削用スチールバーの表面性状:オートクレープと水プラズマで処理し、表面性状を、SEM(電子顕微鏡)観察とEDX(エネルギー分散型X線分析)を用いて検討した。4)生体適合性試験:特注した焼結多孔質SUS円板(気孔径100μm)を試料としL929細胞を用いて検討した。 【成果】1)完全に滅菌できた試料もあったが,一部菌が生残した試料もあった。2)最抵抗性菌はB.pumilusであった。3)オートクレープで処理したバーは,サビが付着し変色したが、水プラズマで処理したバーは、肉眼では変化は認めらず,プラズマ処理の有用性が示唆された。また、EDXは、滅菌処理器材表面の微小変化の検討に有用であった。4)SUSのJIS細胞適合性試験基準は、オートクレープ処理後のRGR(相対細胞増殖率)が0.7以上とされている。今回の結果から、RGRを算出すると、O_2プラズマでは0.97,N_2プラズマとH_2Oプラズマは0.95であり、プラズマ処理はガス種を問わず0.7以上を示し、適合性試験をクリアした。 H_2Oプラズマ10分処理により、10^6個のG.stearothermophilus芽胞を完全に死滅できた。しかし、菌がごくわずか生残した試料も存在した。次年度は滅菌機序の解明と滅菌効果の確実化を目指して検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災によって研究開始が遅れたが,年明けに集中的に頑張ったので,ほぼ予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,水プラズマによる滅菌法の実用化にむけて,確実な滅菌効果を達成する処理条件を確立する。特に,滅菌効果に影響を与える因子を,プラズマ発光解析および芽胞の形態・元素分析により解明していく。
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