研究課題/領域番号 |
22390361
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (00360917)
佐藤 義倫 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (30374995)
山本 悟 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10344524)
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (90239765)
滝田 裕子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30125330)
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キーワード | カーボンナノ物質 / 3次元スキャホールド / b-FGF / スタチン / 陽極酸化チタン / 骨形成 / 骨芽細胞 / 表面修飾 |
研究概要 |
本年度は、カーボンナノ物質の高機能化として、カーボンナノチューブ(CNTs)への線維芽細胞増殖因子(b-FGF)の修飾ならびにカーボンナノホーン(CNHs)へのスタチンの坦持を行うとともに、顎骨再建に広く臨床応用されているチタンへのCNTsの表面修飾を行った。共有結合によりb-FGFを修飾したCNTs(Conjugate CF)、b-FGFを単に混合させたCNTs(Mix CF)、b-FGF、CNTsをそれぞれ培地に添加し、ラット骨髄細胞の培養を行った結果、Conjugate CFは、細胞の増殖に関してMix CFと同等の効果を発現した。また、このConjugate CFを3次元細胞培養用スキャホールドであるコラーゲンスポンジに表面修飾し、骨髄細胞を培養した結果、骨髄細胞の増殖は、CNTsのみを表面修飾した場合に比較して優れていることが明らかとなり、骨再生療法への応用の可能性が示された。スタチン坦持CNHsをGuided Bone Regeneration(GBR)膜へ応用し、ラット骨欠損部に応用した結果、短期では十分な効果が得られなかったが長期的にはスタチンを坦持していないCNHsに比較し、骨形成量は有意に多いことが示され、スタチンをCNHsに坦持させることによる徐放効果が示唆された。チタンへのCNTsの修飾は、陽極酸化した後、シラン処理を行い、CNTs分散液に浸漬することにより行った。CNTsを修飾することにより、細胞培養においては骨芽細胞様細胞の増殖に対し有効であり、また、ラット骨内への埋入においては、初期の骨伝導性の向上に効果があることが示された。これらの結果から、グロースファクターやタンパクによりカーボンナノ物質を高機能化することが可能であり、高機能化したナノ物質はin vitroにおいてもin vivoにおいても骨形成に有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において着手したカーボンナノ物質に対するグロースファクターやタンパクの表面修飾方法を確立し、さらにこれらの物質の表面修飾による高機能化の効果をin vitroおよびin vivoにて確認していることから計画は順調に進展しているものと評価しうる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高機能化したカーボンナノの効果をin vitroにおいては遺伝子レベルで解析するとともに、in vivoにおいて顎骨再建をモデル化した埋入実験を行い、組織定量的な解析を行うことにより高機能化の有効性を明確に示すとともに、本研究課題のもう一つの重要な目的であるカーボンナノ物質の生体への長期的な影響について解析する。
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