研究課題/領域番号 |
22390364
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢谷 博文 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
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研究分担者 |
江草 宏 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30379078)
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30273692)
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キーワード | ケミカルバイオロジー / 小分子化合物 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨組織再生 |
研究概要 |
抜歯、歯周病等に起因する歯槽骨吸収を抑制し、失われてしまった歯槽骨を再生することは、補綴歯科治療の良好な予後のために非常に重要な課題である。本研究の目的は、ケミカルバイオロジーのアプローチによって、多数の生理活性小分子化合物の中から骨代謝を骨形成に強力に促す分子を同定し、補綴歯科治療において切望される歯槽骨形成治療薬として臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することである。本年度は、破骨細胞分化に重要な役割をするNFAT活性を指標としたルシフェラーゼレポーター破骨細胞株を用いて、オーファンリガンドおよびLOPAC小分子化合物ライブラリーのスクリーニングを行った。その結果、破骨細胞分化に抑制的に作用する数十種類の化合物を同定している。一方で、骨芽細胞分化の初期マーカー分子である1型コラーゲンを指標としたGFPレポーター骨芽細胞前駆細胞株を用いて同様のライブラリースクリーニングを行い、骨芽細胞分化に作用する化合物を同定した。さらに、スクリーニングに際してレポーター骨芽細胞前駆細胞株のGFPを検出すると同時に、骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ活性を染色によって検出し、結果を比較検討することで、骨芽細胞分化促進化合物を簡便で高い精度でスクリーニングを可能にするシステムを構築した。これら二種類のレポーター細胞を用いることで、破骨細胞分化抑制作用を有し、かつ骨芽細胞分化促進作用を有するいくつかの小分子化合物を同定している。現在、これらのヒット化合物が間葉系幹細胞あるいはiPS細胞の骨芽細胞分化にも同様の作用を有するか否かを確認し、細胞内における化合物の作用機序の解析を進めている。
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