研究課題/領域番号 |
22390365
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松香 芳三 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90243477)
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研究分担者 |
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00225195)
山本 由弥子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20403496)
熊田 愛 岡山大学, 岡山大学病院, 医員 (40610895)
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キーワード | 三叉神経障害性疼痛モデル / 神経筋細胞 / 疼痛行動 / 知覚神経節 / A型ボツリヌス毒素 / 遊離 / 神経内走行 |
研究概要 |
1.三叉神経内の改良A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)の軸索輸送 BoNT/Aは重鎖(Hc)と軽鎖(Lc)から構成されており、Hcがシナプス小胞内への取り込み時に働き、BoNT/A-HcのN-末端を蛍光標識したものをラット顔面部に注射し、数時間後に観察したところ、同側の三叉神経節において染色が確認された。このことから、末梢に注射したBoNT/A Hcが三叉神経節に到達したことが理解できた。ただし、Hcの移動が神経内を走行したのか、血行性に移動したのかが不明であるため、今後詳細な検討を行う必要がある。 2.BoNT/Aによる三叉神経節におけるSNAP-25タンパクの切断 BoNT/AとSNAP-25を共培養し、BoNT/AがSNAP-25を切断するのかをWestern blotにより観察することを行なったが、我々のシステムでは検出限界以下であった。再度実験を行うか、あるいは別の手法を試みることを考慮している。 3.三叉神経障害性疼痛モデルにおける温熱刺激(疼痛刺激)に対するBoNT/A投与後の変化 三叉神経障害性疼痛モデル作製後の疼痛反応、ならびにBoNT/A投与後の温熱刺激に対する鎮痛効果を観察したところ、三叉神経障害性疼痛モデルでは温熱刺激に対する閾値の低下が観察され、末梢へのBoNT/A投与により、閾値の回復が観察された。 4.末梢神経障害性疼痛モデルの知覚神経節にBoNT/Aを直接投与することによる鎮痛反応 後根神経障害性疼痛モデルを作成したところ、温熱刺激、機械刺激に対する閾値の低下が観察された。このモデルの後根神経節にBoNT/Aを直接投与したところ、閾値の回復が観察された。このことから、BoNT/Aは神経節において効果を表すことが理解できた。現在、BoNT/A投与前後の神経伝達物質の染色を観察しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画と比較すると特に大きく遅れている項目は見られない。また、3.三叉神経障害性疼痛モデルにおける温熱刺激(疼痛刺激)に対するBoNT/A投与後の変化ならびに4.末梢神経障害性疼痛モデルの知覚神経節にBoNT/Aを直接投与することによる鎮痛反応の項目においては当初の計画よりも少し進んでいる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1.三叉神経内の改良A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)の軸索輸送に関してはBoNT/A-Hcが神経内を走行するのか、血行性に移動するのかを検討する。そのためには末梢にBoNT/A-Hc投与後、同側と反対側の三叉神経節を比較する、他の組織の染色を観察するなどを行う。 2.BoNT/Aによる三叉神経節におけるSNAP-25タンパクの切断に関してはWestern Blot以外の手法(SNAP-25が切断されると反応するマーカーなど)を模索する。 4.末梢神経障害性疼痛モデルの知覚神経節にBoNT/Aを直接投与することによる鎮痛反応に関しては、BoNT/A投与前後の神経伝達物質の染色状態を観察する。
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