研究課題/領域番号 |
22390367
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西村 正宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00294570)
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研究分担者 |
小守 壽文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
朝比奈 泉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30221039)
加藤 幸夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10112062)
長井 一浩 長崎大学, 病院, 准教授 (30304942)
村田 比呂司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40229993)
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キーワード | 再生医療 / 骨増生 / 歯槽骨再生 / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
本年度は同意の得られたヒトの顎骨骨髄からの骨髄間葉系幹細胞(MSC)の採取法の確立を目指した。インプラント埋入手術時にドリルで穿孔させた穴から余剰となった骨髄液を新たな侵襲を加えることなく11名の患者から採取した。平均して約0.5mlの骨髄液が採取され、WBC/RBC比は平均0.23%であった。これは一般的な末梢血の約0.12%の約2倍であることから、採取したものが単に抹消血ではないことが示された。また採取部位のCT値と採取量やその後に得られた細胞数との間には相関は無かった。細胞増殖の様態は過去の犬での実験結果と同様であった。つまり最適な播種密度とされている5万WBC/cm^2で細胞を播種することで、8症例においてMSCが増殖した。3症例は初期の頃に細菌によるコンタミネーション、あるいは細胞培養皿の強すぎる洗浄による細胞の喪失等による失敗であったが、例を重ねるとともに培養状態は安定し、増殖した細胞には個体差があるものの、強い骨分化能を持ち、弱い脂肪分化能を持つことが示された。またFACSによる細胞表面マーカーの解析では、顎骨MSCは腸骨由来のMSCと同様に、少なくともHLA-DR陰性、CD166、CD90陽性であった。さらにMSCの無血清培養による細胞のフェノタイプを従来の血清培養と比較した。ラットのMSCを初代から無血清培養すると、血清培養と比較して明らかに早く石灰化が起きた。血清に暴露される期間が長いほどMSCの石灰化は抑制された。さらに無血清培養で石灰化させたMSCを近交系のラットの背中皮下に移植すると、血清含有下で培養した場合に比較してin vivoでの骨化を明らかに促進させた。しかし顎骨骨髄由来MSCは本無血清培地では増殖しなかったため、顎骨由来MSCの培養にはさらに特異的な因子の添加が必要である可能性が示唆された。
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