研究課題/領域番号 |
22390367
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西村 正宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00294570)
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研究分担者 |
小守 壽文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
朝比奈 泉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30221039)
加藤 幸夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10112062)
長井 一浩 長崎大学, 長崎大学病院, 准教授 (30304942)
村田 比呂司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40229993)
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キーワード | 再生医療 / 骨増生 / 歯槽骨再生 / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
本年度は大きく以下の3つの研究を実施した。1.ヒトの顎骨骨髄から骨分化能の高い間葉系幹細胞(MSC)の採取法の確立について:本年度はインプラント埋入手術時に、同一個体から採取した骨髄液を小容量に小分けして培養した。その結果、同一個体から採取した骨髄液から培養したMSCでも、その集団によって増殖率、骨分化、脂肪分化能が異なることが判明した。また最終段階で骨分化能の高い細胞集団と低い細胞集団の未分化状態でのmRNAを採取してDNA microarrayにより遺伝子発現パターンを比較解析した。その結果、最終的に高骨分化な細胞は、未分化な状態でもかなり骨芽細胞にコミットされた状態であることが判明した。2.顎骨骨髄由来のMSCの無血清培養法について:顎骨骨髄液を通常の培養皿にて初代の状態から無血清培養(STK1)にて培養すると、有血清で培養したときと同様に伸展するが、しだいに培養皿から剥離して細胞同士でアグリゲートしてしまうことが判明した。そのため、顎骨由来のMSCを初代から培養する際には、細胞の基底面への接着を強固にする必要があることが分かった。3.採取した細胞の生体内での評価について:ヒト顎骨から採取されたMSCをリン酸カルシウムの骨補填材と混和し、フィブリンでゲル化させたのちに、免疫不全マウスへ移植した。その際、MSCの数を0,50,100,200万と変化させたものを移植した。その結果、200万細胞を移植した群に最も顕著な異所性骨形成を認めた。ヒト特異的抗体で移植細胞を免疫染色すると、形成された骨の中および周囲に存在する骨細胞および骨芽細胞はヒト特異的抗体陽性であったことから、移植した細胞が骨を形成していることが示された。しかし、移植した細胞が組織中の血管上皮細胞に分化している様子は認められないことから、血管はレシピエントから侵入してくることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顎骨骨髄液からの骨分化能の高い細胞集団を区別する方法と無血清培養の培養についてはまだ確立していない。臨床現場からのサンプリングは、患者の同意が必要であり、培養するための人手とのタイミングが揃わないと実現しないためそれほど速やかに進展しない。また骨組織を生体内で作成して評価するためにも一定の時間がかかるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は共同研究者との連携をより密にとり、患者からの細胞採取の機会を逃さないようにする。また共同研究者との連携をより密にとって細胞表面抗原の解析を推進していく。
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