研究分担者 |
小守 壽文 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00252677)
加藤 幸夫 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10112062)
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221039)
長井 一浩 長崎大学, 大学病院, 講師 (30304942)
村田 比呂司 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40229993)
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研究概要 |
本年度は以下の3つの研究を実施した。 1)ヒト顎骨骨髄から採取した間質細胞の表現形と石灰化能の相関性を解析するため、インプラント埋入手術時にヒト顎骨から採取した骨髄液から培養した間質細胞(14株)の表面抗原を解析し、その細胞の骨分化能と比較した。間葉系幹細胞の陰性マーカーであるCD11b, 14, 19, 34, 45は全て陰性だったが、株によってはHLA-DRを高発現している株があった。そしてその細胞はin vitroでの石灰化能が高い傾向を示した。一方間葉系幹細胞陽性マーカーであるCD9, 13, 29, 73, 90, 105, HLA-ABCはどの細胞株でも100%発現している一方、CD105, 166, STRO-1は株によって発現率は異なっていた。しかしその発現率とin vitroでの石灰化様態との明らかな相関性は認められなかった。 2)骨再生医療普及時の患者負担を減らし、培養成績の不均一性を排除するため、培養時の低血清化を検討した。完全無血清培地STK培地では安定した初代培養はできなかった。そのため、STK培地に1%の血清を添加すると、8株中7株で初代培養に成功した。1%血清含有STK培地のほうが従来の10%血清培地よりもその後の細胞増殖率も、骨分化能も高かった。 3)採取した細胞を用いた生体内での骨形成能を免疫不全マウスの背部にて検討した。その結果、in vitroでの分化能の高い細胞が必ずしもin vivoで高い骨形成能を示さないことが示された。生体内で高い骨形成を示した細胞はHLA-DRをほとんど発現しない一方、生体内で骨形成を示さなかった細胞はHLA-DRを約20%の割合で発現していたことから、in vitroの石灰化能評価よりも、特定の細胞表面抗原が生体内での骨形成能を予測するに適していることが示唆された。
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