研究課題/領域番号 |
22390373
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40324793)
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研究分担者 |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80243244)
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キーワード | 接着 / チタン / ジルコニア/アパタイト複合体 / 多孔質 / 細胞接着 / 骨再生 |
研究概要 |
本年度は、まず、骨髄間養系幹細胞をもとに作成した厚みのある三次元細胞シートを用い、細胞シートと材料との親和性について検討を行った。その結果、細胞シートを構成している細胞は、チタンおよびジルコニア/アパタイト複合体、といった硬組織再建用材料に対して、良好な接着を示し、高い接合力を示すことが明らかとなった。そこで、本細胞シートの骨再生部位、すなわちin vivoにおける硬組織再建用材料、宿主骨との親和性を確認するための検討を行った。具体的には、ラット頭蓋骨に作成した人為的骨欠損部(直径6mm)に、あらかじめ成形しサイズを合わせたジルコニア/アパタイト複合多孔体を挿入し、その材料上をこの細胞シートで覆うことで創傷部保護剤、ならびに組織再生誘導剤として用いた。埋入後任意の時期に取り出したサンプルを対象に、非脱灰切片による組織染色像ならびにμCTによる骨量解析を行った結果、埋入多孔体内への新生骨の侵入、ならびに高い骨再生が認められた。また、多孔体上部には層状構造の細胞シートの残存を確認することができ、また、層状細胞シートは宿主骨部分まで延長していた。以上のことから、厚みのある細胞シートは骨補填材、ならびに宿主骨との親和性が高く、骨再生誘導に有効である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工材料ならびに生体骨組織との高い親和性、また、組織再生時の有効性まで確認できていることから、本研究は概ね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
組織との強固な接合性を長期にわたり、維持するためには、細胞シートに十分な強度が必要になる。今後は、細胞分化や基質産生の誘導により、細胞シートの強度を高める方法について検討し、生体組織とのさらに強固な接合を達成できるよう研究を進める。
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