研究課題/領域番号 |
22390374
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三宅 克也 香川大学, 医学部, 准教授 (30219745)
|
研究分担者 |
金川 基 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00448044)
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10201071)
松田 知栄 東京医科大学, 医学部, 講師 (50344099)
田中 享 城西大学, 薬学部, 准教授 (60217049)
江上 洋平 香川大学, 医学部, 助教 (80432780)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 細胞膜修復 / 細胞膜損傷 / エクトゾーム / 二光子 / ライブイメージング / 小胞輸送 / MICAL / アネキシン |
研究概要 |
本研究は,生きた動物の口腔内において,多光子レーザーによって細胞膜を傷つけ,LIVEイメージングによって細胞膜修復装置のリアルタイムの働きを明らかにすることを目的としている.この方法によって,生理的条件下での細胞膜修復装置に組み込まれているタンパク質の動態のその意義が明らかにされることが期待されている. これまでの実験により,GaAsP搭載型高感度多光子レーザー顕微鏡により,損傷した細胞膜修復時の様子をより詳しく解析することができた.GFP標識された培養細胞内のタンパク質, Dysferlin, MG53, Annexin-A1,-A2, -A4,-A5,A7およびMICAL-1の膜修復のための素早くダイナミックな動きの LIVEイメージングに成功した.分離筋線維または分離筋束内の膜修復の様子も詳しく解析することができ,今まで不可能であった損傷部に融合する素早い小胞の動きを撮影することもできた.とくに培養細胞の修復像において損傷修復部から細胞外へ小胞分泌,エクトゾームの形成の瞬間をLIVE撮影する事に成功した.膜損傷による過剰のCa2+流入によって,ゆっくりとしたカルパイン3の活性が確認された.これらの結果は米国細胞生物学会,日本解剖学会などで報告した.またDysferlin欠損患者から作製したiPS細胞に,ヒト完全長Dysferlinを発現させ,分化筋細胞の膜損傷アッセイを行い,良好な膜修復結果を得ることができPLoS one誌に報告した.現在,これらの新知見が生きた動物の口腔でもLIVEイメージングできるか検討中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本学に設置した GaAsP(高感度検出器)を搭載した多光子レーザー顕微鏡システムは,二光子レーザー(カメレオン2)が不良のため3回取り替えた後,順調に稼働し始めた.本年度までに出た結果は,日本解剖学会総会や米国細胞生物学会にて報告する事ができた。また産業総合研究所との共同研究により、アフィキシンなどが膜修復と関わりがあること調査し、ディスファーリン C2Aドメインが MG53とともに働いて、膜修復装置の一部として働いている事を PLoS Current誌に報告した。また、京都大学iPS研究所との共同研究では,三好型筋ジストロフィー患者から iPS細胞を作製し、良好な膜修復結果が得られ PLoS One誌に発表を行ったところ、多くの新聞やテレビに取り上げられ社会に広く紹介された.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに作製したGFPベクターを口腔内に導入し、GFP標識された口腔における細胞内タンパク質のライブイメージングを行う。GFPのタグを付けたDysferlin, MG53, Annexin-A1,-A2, -A4,-A5, -A6,-A7, S100A11, MICAL-1およびCalpain-3のプラスミドを,マウスまたはラットの歯肉および舌にエレクトロポレーションを行い,生きた動物の口腔内におけるLIVEイメージングに挑む予定である.この方法の発展的実験結果として,筋ジストロフィー関連タンパク質と細胞膜修復装置、ならびに関連疾患との関わりを解明し,筋ジストロフィーモデルマウスおよび患者iPS細胞由来筋線維を用いて病気治療に生かせる可能性も探る予定である。これまで学会などで発表した新知見を,インパクトの高い科学雑誌に掲載できるよう速やかに対処する.
|