研究概要 |
低酸素状態において転写活性を促進する低酸素応答因子(HRE)を12個と、99mTcや放射性ヨードを細胞内に取り込むsodium-iodide symporter(NIS)レポーター遺伝子を持つベクターを作製した。作製したレポーターベクターをヒト大腸癌細胞株へトランンスフェクションし、安定導入細胞株を樹立した。 樹立した細胞株をヌードマウス右脇腹部へ皮下移植し、担癌マウスを作製した。約3週間後に、腫瘍最大径約5mmの皮下腫瘍を形成した時点で、99mTcを用いた SPECTイメージングを行った。正常酸素状態(21% O2, n=5)で飼育した担癌マウスの腫瘍への99mTc集積と比較して、撮像前に低酸素状態(10% O2,12時間, n=5)で飼育した担癌マウスの腫瘍への99mTc集積は、優位に高い値を示した。また、摘出腫瘍に対し抗NIS抗体で免疫組織染色を行った。その結果、腫瘍の99mTcの取り込みとNISの発現との間に強い相関を認め、99mTc集積はNISの発現によることを確認した。 FMISO PETは口腔扁平上皮癌組織内のHIF-1αの発現を反映する:FMISO PETと口腔扁平上皮癌の低酸素誘導因子(HIF-1α)の発現の関連を明らかにする。対象は根治的手術療法を受けたOSCC患者23例(男/女: 15/8、年齢42-84歳)で、術前にFMISO PETとFDG PET検査を行った。組織中のHIF-1αの発現は免疫組織学的に検索した。FMISOは14/23例(61%)に集積が認められた。癌組織中のHIF-1αの発現は11/23例(48%)に認められ、HIF-1α(+)例のFMISOのSUV (max)はHIF-1α(-)例のSUV (max)よりも有意に高かった。OSCC患者ではFMISO PET所見は組織中のHIF-1αの発現と有意に関連していた。
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