研究課題
頭頚部癌に対する放射線照射により唾液腺は萎縮し、口腔乾燥が引き起こされる。患者は、口腔乾燥により咀嚼、嚥下、会話の障害のみでなく、う触や歯周疾患の多発などの症状に苦しめられるため、患者の生活の質(QOL)は著しく低下する。しかしながら、今日まで、唾液腺の萎縮に対して満足できる標準的な治療法はない。本研究の最終的な目標は、唾液腺幹細胞移植による唾液腺機能障害の新たな治療法の開発である。初めに、マウス唾液腺への放射線照射により、唾液腺萎縮モデルを作成した。細胞治療の臨床応用には、細胞の培養が大きなハードルとなる。今回細胞培養を行うことなく使用可能な骨髄単核旧細胞に着目した。骨髄単核球細胞を密度勾配遠心法にて分取し、萎縮唾液腺への細胞移植を行った。単核球細胞は、これまで報告されている培養唾液腺上皮細胞、および骨髄間葉系幹細胞同様に唾液量の回復に作用することが示された。次に、細胞移植による唾液腺機能回復のメカニズムを明らかにするために、in vitroにおける唾液腺萎縮モデルを作製した。平面培養された唾液腺上皮細胞に対して、60Gyの照射を行うことで細胞増殖が停止し、腺房あるいは導管マーカー遺伝子の有意な低下が認められる。この系を用いて骨髄単核球分画と非接触で共培養することで、腺房マーカーの回復が認められた。しかしながら、細胞の増殖能の回復は認められなかった。以上から、骨髄単核球の培養上清中に含まれる液性の因子が直接腺房細胞へ働きかけ、機能回復に作用するメカニズムの存在が明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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